青空
あの日、クラウドが空から降ってきて。
それからスラムと呼ばれたあの町の外に出た。
エアリスやお母さんと過ごしてた日々に不満があったわけじゃない。
けれど、外に出て色々な景色を見て。
確かに喜びを感じた。
「リズ」
空を見上げていると急に、クラウドが話しかけてきた。
「はい?」
「いや、今日はこの町に泊まるぞ」
「ええ、分かったわ」
まだ夕暮れには程遠いが、太陽は頂点をすぎ傾き始めていた。
確かに、今日はここにとどまるのが得策だろう。
「・・・何をみてたんだ?」
「空を」
「そら?」
「ええ、空ってきれいね」
すんだように青くてまるで、まるで―――
「あぁ、そうだな」
そこで、ふと思う。
「あの日、空は何色だったのかしら?」
「あの日?」
「クラウドが落ちてきた日のことよ」
それを聞いてクラウドはバツが悪そうに顔をそむけた。
あなたにとっては恥ずかしい記憶かもしれないけれど。
私にとっては、世界が変わった日なの。
「私はあの日世界が動き出したと思うの」
「そうか?」
「えぇ、みんなとこうして旅ができてとても楽しいわ」
心の底からそう思う。
あの日も今日のような晴れだったのかしら?
「あの日は・・・確か曇っていたな」
「本当に?」
少し残念な、そんな感情が心を占める。
「天気なんか、関係ないだろ」
「そうね。」
確かに関係ないわ。
大切なのは思い出よね。
「・・・っリズ」
「?」
「いつか、すべてが終わったら」
”もう一度、空を見にこよう”
「ええ、もちろん」
その日見上げた青い空はまるであなたの瞳のようで、だからずっと見ていたの。
(平和になった世界でもう一度青空を見上げましょう)
(2011/09/19)
元拍手のおまけ。