Eternal Oath

00.幻想狂詩 Log

carnival overture(2017/08/08)


「あー、それー!」

「ん、かっこいいでしょ?」
いいながらくるりと回って、シランは自身の顔を指し示した。そこにはアルベト族のマスクがはめられている。
騒ぐ二人の声を聞いたアーロンは、自然にシランへ駆け寄るとそのマスクを剥いでしまう。

「何をしている」
「これ一回被ってみたかったんだよね!
かっこよくない?」

いけしゃあしゃあと言ってのけた。どうやらガードとしての自覚はこの女には無いらしい。召喚士として生前様々なものを制限されて来たからなのか、死んで以来シランは欲求に素直だ。

いや、生前もやりたい放題だったな。
思い起こしたアーロンは眉間に皺をよせた。

「かっこいいって言う人初めて見たよ」

マスクを取り返そうとするシランと色々と思い返すアーロンの、沈黙の中、リュックがこぼした。


「嫌?」


「ううん」
泣きそうで、しかしながら嬉しそうに笑ったリュックの後ろで、やっぱり嬉しそうに微笑んだユウナを見つけたアーロンは、今回は許してやるかとそう思った。



俺も同じだったから(2023/5/16)


―――なぜ。世界のために死んでもいいと思ったのか。
ザナルカンドから来たという少年は、ふとシランに訪ねた。

誰もが避けた直接的な物言いをする彼。それが逆に好ましくて、シランはその問いに答えることにした。

「んー。」
彼女は首をかしげ腕を組んだ。
そして、数秒のうちそれを解いた。


たくさん理由はあった。

両親がおらず、寺院で育ったこと。
召還士としての才能があると言われたこと。

しかし、きっと心から世界を救ってもいいと思ったのはあの時。

「アーロンが私のために死んでもいいって言ったから
私もそうしてもいいかなって思ったの」

予想外なシランの返答に、ティーダは目を見開いて瞬きをいちど、にど、さんど。

「ははっ、なんすかそれ!」

堰を切ったように笑い始めた。



世界のためだなんて、そんな理由にはちっとも納得できなかったのに。
“それなら仕方ないな”とティーダは思った。