00.Wish upon a star Log
未来の話(2015/02/01)
「ねぇ、リノア。明日はね―――」
明日。次。今度。
アーリアはよく未来の話をする。
「アーリアは、明日の話、良くするね」
「そう、かな ・・・そうだね、そうかもしれない」
思わず零した言葉に返ってきたのは、泣きそうな笑顔だった。
「ねぇ、リノア。明日はね―――」
明日。次。今度。
アーリアはよく未来の話をする。
「アーリアは、明日の話、良くするね」
「そう、かな ・・・そうだね、そうかもしれない」
思わず零した言葉に返ってきたのは、泣きそうな笑顔だった。
天使の梯子(2015/11/11)
「綺麗」
小さな声に瞼をあければ、朝焼けが辺りを照らし始めていた。うろこ雲の切れ間から降りる光の梯子は、なるほど綺麗と言うより無い。
綺麗。その光景に私も声を上げた。振り向いたアーリアの髪が朝焼けに溶けて、薄緑の瞳が弧を描く。
何でもないことなのにどうしようもなく泣きたくなった。
「綺麗」
小さな声に瞼をあければ、朝焼けが辺りを照らし始めていた。うろこ雲の切れ間から降りる光の梯子は、なるほど綺麗と言うより無い。
綺麗。その光景に私も声を上げた。振り向いたアーリアの髪が朝焼けに溶けて、薄緑の瞳が弧を描く。
何でもないことなのにどうしようもなく泣きたくなった。
本編の少し前、ティンバーにて(2016/12/23)
「(あいつ、何が好きなんだ?)」
現在サイファーはティンバーの雑貨屋にいる。
色とりどりのハンカチやぬいぐるみ、はたまたお菓子なんぞが並んでおり、それらに興味が無いサイファーは益々悩むだけだ。
「よ!サーイーーファー!!」
「っなにしやが」
腕を組み悩むその背を押され怒鳴り気味に振り返れば、黒髪の見知った女が立っていた。
とは言え怒りが収まる訳でもなく、「急に押すんじゃねぇ、リノア」と不機嫌に言い放つ。
そんな風に、しかめられた顔を上目に覗いて、リノアは彼の白いコートの袖を引いた。
もうすぐクリスマスだから”もしかして”くらい考えてもいいのかなと、思った。―――当たらないでくれとも。
「もしかして、プレゼント?」
「あ?・・・ああ」
「彼女、いたんだ
流石色男だねー!クリスマスどこいくの?」
思わず彼の袖から離してしまった手を体の前でふり、リノアは動揺を隠すために捲し立てた。
「んなもんじゃねえし、どこもいかねぇよ」
―――その問に返ってくる言葉がもっと残酷になるとは知らず。
どんな子とか誰なのとか聞きたいことは沢山あったけれど、聞けなくて。
「私だったらこのハートの入浴剤とか貰えたら嬉しいな」
「ああ?」
「だって可愛いじゃない」
たっぷり間を開けて、恥ずかしいのか顔を隠す様に首に手をやったサイファーの視線はリノアを外れる。
小さな沢山のハートの入った包を持って、やっぱり悩んだように動きを止めてしまったサイファー。その背をぐいとリノア押した。
「ぜーったいそれがいい!」
わたしもね、それが欲しいの。そんな気持ちを吐き出してしまいそうで、サイファーをこれ以上見てなどいたくない。
彼女でもなく、クリスマスを過ごす訳でもない、完全な彼の片思いなんだろう。
サイファーが会計を終え、バラムへと戻る電車へ乗り込む。手に持った華やかな包装が似合わなかった。
「サイファー、それってどんな子?誰なの?」
笑顔で見送ったその顔のままリノアは言った。
* * *
「SeeDのアーリア=セッターです」
その名を知ったのはそれから1年がたった、サイファーの事などすっぱり諦めた後だった。
「(あいつ、何が好きなんだ?)」
現在サイファーはティンバーの雑貨屋にいる。
色とりどりのハンカチやぬいぐるみ、はたまたお菓子なんぞが並んでおり、それらに興味が無いサイファーは益々悩むだけだ。
「よ!サーイーーファー!!」
「っなにしやが」
腕を組み悩むその背を押され怒鳴り気味に振り返れば、黒髪の見知った女が立っていた。
とは言え怒りが収まる訳でもなく、「急に押すんじゃねぇ、リノア」と不機嫌に言い放つ。
そんな風に、しかめられた顔を上目に覗いて、リノアは彼の白いコートの袖を引いた。
もうすぐクリスマスだから”もしかして”くらい考えてもいいのかなと、思った。―――当たらないでくれとも。
「もしかして、プレゼント?」
「あ?・・・ああ」
「彼女、いたんだ
流石色男だねー!クリスマスどこいくの?」
思わず彼の袖から離してしまった手を体の前でふり、リノアは動揺を隠すために捲し立てた。
「んなもんじゃねえし、どこもいかねぇよ」
―――その問に返ってくる言葉がもっと残酷になるとは知らず。
どんな子とか誰なのとか聞きたいことは沢山あったけれど、聞けなくて。
「私だったらこのハートの入浴剤とか貰えたら嬉しいな」
「ああ?」
「だって可愛いじゃない」
たっぷり間を開けて、恥ずかしいのか顔を隠す様に首に手をやったサイファーの視線はリノアを外れる。
小さな沢山のハートの入った包を持って、やっぱり悩んだように動きを止めてしまったサイファー。その背をぐいとリノア押した。
「ぜーったいそれがいい!」
わたしもね、それが欲しいの。そんな気持ちを吐き出してしまいそうで、サイファーをこれ以上見てなどいたくない。
彼女でもなく、クリスマスを過ごす訳でもない、完全な彼の片思いなんだろう。
サイファーが会計を終え、バラムへと戻る電車へ乗り込む。手に持った華やかな包装が似合わなかった。
「サイファー、それってどんな子?誰なの?」
笑顔で見送ったその顔のままリノアは言った。
* * *
「SeeDのアーリア=セッターです」
その名を知ったのはそれから1年がたった、サイファーの事などすっぱり諦めた後だった。