その人はいつも、私を待っていた。
どうしても、スラムから抜け出したくて。
死ぬほど努力した。
やっとの思いで新羅の社員に採用され、仕事も仲間付合いもそこそこうまくいってた・・・はずだった。
「・・・あ」
「リズ。今日は遅かったな、と」
そう、このレノが私をこうして待つようになるまでは。
正直意味がわからない。
タークスに目をつけられるようなことはしていないし。
もちろんこの人と個人的な付き合いは無かった。
ある日突然、私のことをこうして待つようになったのだ。
「リズ遅かったな、と」
職場で流れる『ターナーさんはあのタークスのレノと付き合っている』という噂。
ぎくしゃくする人間関係。
減る友人からの誘い。
全部全部この人のせいなのに・・・どうしてか拒めないでいた。
いや、どうして拒めないかなんてわかりきってた。
だって私は彼に。
「なんで・・・」
「ん?」
「なんで、いつもこうして待ってるんですか?」
今日こそは聞こう。聞いてしまおう。
そして・・・拒んでしまおう。
きっと気まぐれに違いない。
頼むから、これ以上私の中に入ってこないで。
「・・・本気で言ってるのか、と」
心底驚いたような、あきれたような感じで彼は私に向きなおした。
「もちろんですよ。なんなんですか?
急にあらわれて!勝手に待ち伏せて!
もう嫌なんです!!あなたの気まぐれでっ・・・」
これ以上心を掻き乱されるのは。
「・・・・・気まぐれじゃないぞ、と」
「は?」
「俺はずっとリズのことが好きだ」
うそだ。
だって、何の接点も。
「だから、泣くんじゃないぞ、と」
きれいな手が私の頬に触れた。
そのままやさしく抱きしめられて。
「どう・・・して」
「覚えてないのか、と」
そうして話始めたのは、数年前。
私がまだスラムにいたときの話。
そういえば、昔そんなことがあったような・・・。
「覚えてないのか、と」
「少しだけ」
「俺はずっとリズが好きだったぞ、と
リズは?」
答えなんて決まってた。
だって、拒めなかった理由は、私も彼に惹かれてたから。
彼は優しくて。
いつのまにか、好きになってた。
だから、離れたかった。近づきたくなかった。
これ以上好きになってしまう前に。
なのに今こんなにも嬉しいなんて。
(2011/7/22)
待ち続け
どうしても、スラムから抜け出したくて。
死ぬほど努力した。
やっとの思いで新羅の社員に採用され、仕事も仲間付合いもそこそこうまくいってた・・・はずだった。
「・・・あ」
「リズ。今日は遅かったな、と」
そう、このレノが私をこうして待つようになるまでは。
正直意味がわからない。
タークスに目をつけられるようなことはしていないし。
もちろんこの人と個人的な付き合いは無かった。
ある日突然、私のことをこうして待つようになったのだ。
「リズ遅かったな、と」
職場で流れる『ターナーさんはあのタークスのレノと付き合っている』という噂。
ぎくしゃくする人間関係。
減る友人からの誘い。
全部全部この人のせいなのに・・・どうしてか拒めないでいた。
いや、どうして拒めないかなんてわかりきってた。
だって私は彼に。
「なんで・・・」
「ん?」
「なんで、いつもこうして待ってるんですか?」
今日こそは聞こう。聞いてしまおう。
そして・・・拒んでしまおう。
きっと気まぐれに違いない。
頼むから、これ以上私の中に入ってこないで。
「・・・本気で言ってるのか、と」
心底驚いたような、あきれたような感じで彼は私に向きなおした。
「もちろんですよ。なんなんですか?
急にあらわれて!勝手に待ち伏せて!
もう嫌なんです!!あなたの気まぐれでっ・・・」
これ以上心を掻き乱されるのは。
「・・・・・気まぐれじゃないぞ、と」
「は?」
「俺はずっとリズのことが好きだ」
うそだ。
だって、何の接点も。
「だから、泣くんじゃないぞ、と」
きれいな手が私の頬に触れた。
そのままやさしく抱きしめられて。
「どう・・・して」
「覚えてないのか、と」
そうして話始めたのは、数年前。
私がまだスラムにいたときの話。
そういえば、昔そんなことがあったような・・・。
「覚えてないのか、と」
「少しだけ」
「俺はずっとリズが好きだったぞ、と
リズは?」
答えなんて決まってた。
だって、拒めなかった理由は、私も彼に惹かれてたから。
彼は優しくて。
いつのまにか、好きになってた。
だから、離れたかった。近づきたくなかった。
これ以上好きになってしまう前に。
なのに今こんなにも嬉しいなんて。
(2011/7/22)