あの後逃げるようにパーティ会場を後にして。
ラグナに明日から任務の為音信不通になる旨だけを返信する。
そう、明日からSeeDの任務が始まる。
ガーデンからも、ラグナからも、サイファーからも距離をおける。
「アーリア、SeeDの仕事だ
俺たちはティンバーに行く」
カードリーダー前に集合ということで、そちらへ行けばSeeD試験の時と同じメンバーがいた。仕事内容はティンバーのレジスタンスの手伝いときいた。
その手の仕事内容の割には人数が少ない。依頼金が少ないと言っていたし、そのためであろう。
ティンバーへは、電車へ乗っていくということで、アーリアはずっと廊下で流れる風景を眺めていた。
「・・・」
地下を通り、電車は地上へ。流れる風景はアーリアが初めて見るものばかり。
彼女がこの世界で知っているのは、小さなバラム大陸と、エスタだけ。知らないところに向かう、その感覚を懐かしく思う。
目を細め、見た先にはティンバーが小さく映った。
「アーリア、つくぞ」
「・・・うん」
スコールが客室から出て、アーリアを呼ぶ。
その言葉にも懐かしさを感じつつ、アーリアは頷いた。
駅に降りると、森のフクロウのアジトへ案内される。
電車を改造したというそれは、案外立派なつくりでアーリアは驚きあたりを見回した。
気を隠すには森の中、電車の多いティンバーではなるほど合理的なアジトかもしれない。
始めにリーダーであるゾーンを紹介されたが、実質的なリーダーが別にいるらしくスコールが呼びに行かされていた。
下働きのような命令や、子供の集まりのようなレジスタンスにアーリア以外の機嫌は著しく低下している。
一方彼女は興味もないという風に無表情に外を見つめていた。事実、どうでもよかったのだ。ティンバーの独立も、森のフクロウの活動も。
彼女にとっては仕事以上でも以下でもない。
「(つまんない)」
その気持ちは、スコールの起こしてきた実質的リーダーである”姫”をみて吹き飛ぶ。
黒い髪に同じ色の瞳。水色の服を着た少女がスコールと共に立っていた。
「あ・・・」
それは、SeeD就任パーティで見かけたスコールに言い寄っていた女の子。
見た目通りじゃんない行動が印象的で、やけに記憶に残っていた。
なんとなくエアリスに似ていると―――そう思わせる人だった。
「はじめまして、アーリアです」
任務にでて初めて、薄くアーリアの唇が弧を描いた。
「うん!よろしくね」
それを好意的にうけとったリノアがアーリアと握手する。
仏頂面のスコールや険しい顔のゼルに比べて、彼女は幾分かやわらかい印象を受ける。
無意識に差し出した手を握られる。その暖かさに、アーリアは眼を閉じた。
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)
(2023/12/02修正2)
ラグナに明日から任務の為音信不通になる旨だけを返信する。
そう、明日からSeeDの任務が始まる。
ガーデンからも、ラグナからも、サイファーからも距離をおける。
13.彼女の決意
「アーリア、SeeDの仕事だ
俺たちはティンバーに行く」
カードリーダー前に集合ということで、そちらへ行けばSeeD試験の時と同じメンバーがいた。仕事内容はティンバーのレジスタンスの手伝いときいた。
その手の仕事内容の割には人数が少ない。依頼金が少ないと言っていたし、そのためであろう。
ティンバーへは、電車へ乗っていくということで、アーリアはずっと廊下で流れる風景を眺めていた。
「・・・」
地下を通り、電車は地上へ。流れる風景はアーリアが初めて見るものばかり。
彼女がこの世界で知っているのは、小さなバラム大陸と、エスタだけ。知らないところに向かう、その感覚を懐かしく思う。
目を細め、見た先にはティンバーが小さく映った。
「アーリア、つくぞ」
「・・・うん」
スコールが客室から出て、アーリアを呼ぶ。
その言葉にも懐かしさを感じつつ、アーリアは頷いた。
駅に降りると、森のフクロウのアジトへ案内される。
電車を改造したというそれは、案外立派なつくりでアーリアは驚きあたりを見回した。
気を隠すには森の中、電車の多いティンバーではなるほど合理的なアジトかもしれない。
始めにリーダーであるゾーンを紹介されたが、実質的なリーダーが別にいるらしくスコールが呼びに行かされていた。
下働きのような命令や、子供の集まりのようなレジスタンスにアーリア以外の機嫌は著しく低下している。
一方彼女は興味もないという風に無表情に外を見つめていた。事実、どうでもよかったのだ。ティンバーの独立も、森のフクロウの活動も。
彼女にとっては仕事以上でも以下でもない。
「(つまんない)」
その気持ちは、スコールの起こしてきた実質的リーダーである”姫”をみて吹き飛ぶ。
黒い髪に同じ色の瞳。水色の服を着た少女がスコールと共に立っていた。
「あ・・・」
それは、SeeD就任パーティで見かけたスコールに言い寄っていた女の子。
見た目通りじゃんない行動が印象的で、やけに記憶に残っていた。
なんとなくエアリスに似ていると―――そう思わせる人だった。
「はじめまして、アーリアです」
任務にでて初めて、薄くアーリアの唇が弧を描いた。
「うん!よろしくね」
それを好意的にうけとったリノアがアーリアと握手する。
仏頂面のスコールや険しい顔のゼルに比べて、彼女は幾分かやわらかい印象を受ける。
無意識に差し出した手を握られる。その暖かさに、アーリアは眼を閉じた。
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)
(2023/12/02修正2)