Eternal Oath

ガルバディアガーデンに着いた私の耳に飛び込んできたのは。

「バラムガーデンも無事。ティンバーでの大統領襲撃事件は犯人の単独行動だと判明したそうよ。 バラムガーデンの責任は問わないというガルバディア政府の通達があったって」
「犯人ってサイファーか!?」


「裁判は終わって・・・刑も執行されたそうよ」


目の前が真っ暗になった。

17.憶測


ガルバディアガーデンに着くなり、アーリア達は応接室へ通された。
教師として何度か来たことがあるという理由で、キスティスが学長への報告を行いに行く。


そこで聞いたのは、ガーデンの無事とサイファーの処刑。


キスティスは応接室へ戻り、この事をみんなへ伝えた。いくら良くは思ってなかったとはいえ、学友の死にみるみる暗くなる雰囲気。
沈黙が続いたが、やがて、ぽつりぽつりと思い出話がこぼれ始める。嫌いだった、と言う話が大半を占める中、リノアだけは全く違う感情を口にした。


「私はあいつの事大好きだった」


そう零したリノアに視線が集中する。リノアは仰ぐように天井を見つめ言葉を紡いだ。
その視線の中には壁に背を預けたままのアーリアと、苛立たし気に頭を抱えていたスコールのものも含まれている。


「いつでも自信たっぷりでなんでも良く知ってて、あいつの話を聞いてるとなんでもできるような気持ちになった」
「カレシ?」
「ううん。
私は恋、してたと思う

けど、あいつは別に好きな人が居たと思う」


その言葉に弾かれる様にアーリアを見たのはキスティスとスコールの二人。
誰とも深くかかわろうとしないスコールだが、サイファーだけは別だった。目を合わせれば喧嘩をしていた。
キスティスは、スコールを目で追う事が多く、自然とサイファーを目にする機会も多かった。もちろん、担任をしていたことも理由の一つであるが。
とにかく、良い悪いは置いておいて二人はサイファーを良く見ていた人物なのである。

だからこそ、”サイファー”の好きな人に心当たりがあったのだ。

サイファーと頻繁に接していた女子生徒など二人しかいない。
風紀委員である風神と、スコールとの喧嘩を止めていたアーリアの二人だ。
そして、二人は気付いた。風神とアーリアのどちらを好きだったのか。


「・・・」


アーリアは何も言わずに、ぼんやりとリノアを眺める。スコールとキスティスが自分を見ているのにも気づかずに。

その眼は何も写してはおらず、戦場で見た死体の眼に似ているとキスティスとスコールは思った。



「っ」
「どうしたんだ?スコール」
「いや・・・」


言葉が浮かばない。
どうしたらいいのか、どうするべきなのか。それすらも分らない。
ほぼ無意識に、キスティスを見たが彼女も同じような表情をしていた。

彼女は強い。だからこそ、アーリアの異変をこれまで誰も感じることはできなかった。
悲しいのか、怒っているのか、呆然としているのか。
もうそれすらも感じることはできなくて。


(2015/01/01)
(2016/08/14修正)