サイファーが生きてるって分って、少しだけ、ほんの少しだけだけど心が軽くなった。
だから。
「リノア!」
私は。
「・・・ファイガ」
アーリアの炎がリノアを攻撃しているモンスターを襲った。
突然の炎にもがくモンスターの間を抜け、リノアの前に立ちふさがる。
後から続くように、スコールとアーヴァインもモンスターに攻撃をした。
プロの傭兵である三人、しかも挟み撃ちにされては、いくら魔女のモンスターと言えども歯が立たず、ものの数分で無に帰る結果となった。
ガタガタと震えるリノアを何とかスコールが歩かせ、予定通りに狙撃の位置へとアーヴァインが着く。
アーリアはそれを見て、安堵の溜息を一つつくと、リノアの方へと寄って行った。
少し屈み、座っているリノアと目線を合わせる。
「怪我は、ない?」
アーリアを見て、漸くリノアは”いつもの”彼女に戻っていることに気付いた。
最も、リノアはサイファーが生きている事を知らなかったので、どうして元に戻ったのかは分らなかったが。
戸惑いがちに頷けば、アーリアは前見せたような、微かな笑みを浮かべる。
そして、その笑みをすぐに消して、まっすぐと魔女のほうを見つめた。
もっと見たいのに、そう思いリノアは彼女方へと手を遊ばせた。
やがて魔女が凱旋門を通る。予定通り閉じ込められた魔女に銃口がむけられた。
―――バンッ
大きな音と共にアーヴァインが崩れ落ちる。
その様子は狙撃が失敗したと思わせるには十分だった。
アーヴァインに軽く慰めの言葉をかけると、スコールは単身車に乗って凱旋門へ向かった。
「スコール!」
それを見て、リノアは止める様に手を伸ばしたが、事前の打合せ通りな為アーリア達は焦らず走って後を追う。
アーリア達が凱旋門へ着くと、そこにはぼろぼろのサイファーと、少し疲れた様子のスコール。
そして敵意をこちらへ向ける魔女が居た。
「(ああ、そうか
サイファー敵になっちゃったんだ)」
悲しげに歪んだアーリアの顔に、サイファーは目をそらす。
サイファーの様子にリノアは嘗ての恋敵が誰であったかを悟り、悲し気に自分をかばう彼女の服をつかんだ。
アーリアは、すぐに悲しみの表情を隠すと、リノアを落ち着けるように彼女の手に手を重ね服からはがす。
そして、アーリアがショートソードを抜いた。それをきっかけにバトルが始まった。
開幕早々に唱えられたアーリアの魔法で、サイファーは眠り、戦線を離脱。
そんなサイファーを一瞥すると、アーリアはショートソードを魔女に振りかぶるが、それは不可視のバリアに阻まれた。
バリアの中魔女がにやりと笑う。振り上げた手に氷が生成されるのを確認すると、アーリアは急所を守るように両の手で防御をとる。
「っ」
「アーリア!」
バリアの先から放たれた攻撃は、守るように前に出たスコールに弾かれた。
その事に、戦闘中だというのにアーリアは驚き、目を見開く。
この世界に来てから、誰かに守られたのは初めてだった。
同世代の誰よりも戦闘経験のあったアーリアは、前線にでるようになっていたから。
自分の所為で誰かが死ぬくらいなら、苦手でも前に出たほうがましだった。
それでも、世界中を旅して戦っていた彼女は生徒たちよりもましな動きができていたから。なので、アーリアなら大丈夫、と誰も彼女をかばう事はしなかった。
久しぶりの感覚をくすぐったく思いながら彼女は詠唱を紡いだ。
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)
だから。
「リノア!」
私は。
20.唯命さえあれば
「・・・ファイガ」
アーリアの炎がリノアを攻撃しているモンスターを襲った。
突然の炎にもがくモンスターの間を抜け、リノアの前に立ちふさがる。
後から続くように、スコールとアーヴァインもモンスターに攻撃をした。
プロの傭兵である三人、しかも挟み撃ちにされては、いくら魔女のモンスターと言えども歯が立たず、ものの数分で無に帰る結果となった。
ガタガタと震えるリノアを何とかスコールが歩かせ、予定通りに狙撃の位置へとアーヴァインが着く。
アーリアはそれを見て、安堵の溜息を一つつくと、リノアの方へと寄って行った。
少し屈み、座っているリノアと目線を合わせる。
「怪我は、ない?」
アーリアを見て、漸くリノアは”いつもの”彼女に戻っていることに気付いた。
最も、リノアはサイファーが生きている事を知らなかったので、どうして元に戻ったのかは分らなかったが。
戸惑いがちに頷けば、アーリアは前見せたような、微かな笑みを浮かべる。
そして、その笑みをすぐに消して、まっすぐと魔女のほうを見つめた。
もっと見たいのに、そう思いリノアは彼女方へと手を遊ばせた。
やがて魔女が凱旋門を通る。予定通り閉じ込められた魔女に銃口がむけられた。
―――バンッ
大きな音と共にアーヴァインが崩れ落ちる。
その様子は狙撃が失敗したと思わせるには十分だった。
アーヴァインに軽く慰めの言葉をかけると、スコールは単身車に乗って凱旋門へ向かった。
「スコール!」
それを見て、リノアは止める様に手を伸ばしたが、事前の打合せ通りな為アーリア達は焦らず走って後を追う。
アーリア達が凱旋門へ着くと、そこにはぼろぼろのサイファーと、少し疲れた様子のスコール。
そして敵意をこちらへ向ける魔女が居た。
「(ああ、そうか
サイファー敵になっちゃったんだ)」
悲しげに歪んだアーリアの顔に、サイファーは目をそらす。
サイファーの様子にリノアは嘗ての恋敵が誰であったかを悟り、悲し気に自分をかばう彼女の服をつかんだ。
アーリアは、すぐに悲しみの表情を隠すと、リノアを落ち着けるように彼女の手に手を重ね服からはがす。
そして、アーリアがショートソードを抜いた。それをきっかけにバトルが始まった。
開幕早々に唱えられたアーリアの魔法で、サイファーは眠り、戦線を離脱。
そんなサイファーを一瞥すると、アーリアはショートソードを魔女に振りかぶるが、それは不可視のバリアに阻まれた。
バリアの中魔女がにやりと笑う。振り上げた手に氷が生成されるのを確認すると、アーリアは急所を守るように両の手で防御をとる。
「っ」
「アーリア!」
バリアの先から放たれた攻撃は、守るように前に出たスコールに弾かれた。
その事に、戦闘中だというのにアーリアは驚き、目を見開く。
この世界に来てから、誰かに守られたのは初めてだった。
同世代の誰よりも戦闘経験のあったアーリアは、前線にでるようになっていたから。
自分の所為で誰かが死ぬくらいなら、苦手でも前に出たほうがましだった。
それでも、世界中を旅して戦っていた彼女は生徒たちよりもましな動きができていたから。なので、アーリアなら大丈夫、と誰も彼女をかばう事はしなかった。
久しぶりの感覚をくすぐったく思いながら彼女は詠唱を紡いだ。
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)