無事脱出できたのは良いものの、傷が開いてしまったのか、脇腹がじくりと痛む。
「魔女がガーデンをミサイルで攻撃するんですって!?」
そんな状態なのにみんなの足を引っ張るわけにはいかない。
ばれないように、血で染まった包帯を手で押さえて、ふらつかないように気を付けて歩く。
みんなに押される形で、スコールがミサイル発射の阻止班とガーデンへの報告班を決めた。
ミサイル班は危険なこともあり、班を決めるスコールの表情は苦々しい。
スコールと、リノア、ゼル、アーリアの三人がバラムへと戻ることになった。
バラムガーデンへ戻ると、生徒が走り回っていた。
ミサイルが飛んでくる事への混乱かと思ったが、どうやら違うらしい。
「何これ?」
「さあ?」
アーリアは生徒たちの中に先生を見つけ、歩いていく。
その先生はスコールには訝し気な目を、アーリアには好意的な目を向け、こちらへ寄ってきた。
「」
「先生」
「君はマスター派だな?」
「?」
今学園に帰ってきたばかりだと告げると、教師はシド学園長ではなく、マスター・ノーグと言う者が本来の学園の支配者であると説明した。
教師の多くは、学園の出資者であるマスター・ノーグを支援し、学園長を指示しているのはSeeDが多いようだ。
殺気立つ中教えてくれたのは、ひとえに自身の気に入りの生徒であるアーリアが居たからであろう。彼女が自身の味方になると信じ切っての行動だ。
「学園長派には容赦しない」
それでも、学園長派になるようだったら容赦しないと笛を構えた教師に対し、アーリアは眉間にしわをよせる。
もっとも彼女だけでなく、スコールも事情を知らないリノアでさえも非常時にくだらない争いをしている事に苛々と顔をゆがめていた。
「先生・・・」
―――ピィィィィィ
アーリアが剣を抜くと同時に、笛の音が響いた。
現れたのはアルケオダイノスで、周りの生徒たちも戸惑い逃げる。
モンスターは笛の音に惹かれて現れるだけで、教師が操っているわけではないからだ。
「ふざけないでください」
「アーリア!」
「……ファイガ!!!」
強い魔法がアルケオダイノスを屠る。
そのまま、呆然とする生徒の間を抜け、ショートソードを握ったまま教師の前にたつ。
そして、ゆっくりと切っ先を教師へと向けた。
「先生、今ガルバディアからこのガーデンを向けてミサイルが発射されてます
こんな事してたらみんな死んでしまう!」
「マスター・ノーグに逆らうのか!?」
「学園に無用な戦いを生むような人を、学園の指導者としてなんて認めない
学園長でもマスターでも、そんなの私はどっちでもいい
みんなを殺すような人だったら私にとっては学園長もマスターも敵です」
どちらでもいいの言葉通り、まっすぐと彼女は教師を見つめた。
信頼していた生徒から向けられた殺気に、教師はたじろぎ、助けを呼ぶ様に周りを見た。
そこで漸く生徒たちが傷つき、倒れている事に気付く。
瞬間、浮かんだのは僅かな罪悪感と後悔。
自分が教師を目指していたのは、金の為だったのか生徒の為だったのか。
「・・・ああ」
確かに自分は誇りをもって、教師になったはずなのに。
がくりと、膝を着く教師を見て、アーリアはゆっくりとショートソードをしまった。そして、自身も膝をつき教師と目を合わせる。
白い顔が不自然な笑顔を作る。
「先生、お願いします
手伝ってください」
頷く教師、そんな二人のやり取りをみて、見ていただけの生徒たちがわらわらと駆け寄る。
口々にミサイルは本当か、と尋ねて。
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)
「魔女がガーデンをミサイルで攻撃するんですって!?」
そんな状態なのにみんなの足を引っ張るわけにはいかない。
ばれないように、血で染まった包帯を手で押さえて、ふらつかないように気を付けて歩く。
24.学園闘争
みんなに押される形で、スコールがミサイル発射の阻止班とガーデンへの報告班を決めた。
ミサイル班は危険なこともあり、班を決めるスコールの表情は苦々しい。
スコールと、リノア、ゼル、アーリアの三人がバラムへと戻ることになった。
バラムガーデンへ戻ると、生徒が走り回っていた。
ミサイルが飛んでくる事への混乱かと思ったが、どうやら違うらしい。
「何これ?」
「さあ?」
アーリアは生徒たちの中に先生を見つけ、歩いていく。
その先生はスコールには訝し気な目を、アーリアには好意的な目を向け、こちらへ寄ってきた。
「」
「先生」
「君はマスター派だな?」
「?」
今学園に帰ってきたばかりだと告げると、教師はシド学園長ではなく、マスター・ノーグと言う者が本来の学園の支配者であると説明した。
教師の多くは、学園の出資者であるマスター・ノーグを支援し、学園長を指示しているのはSeeDが多いようだ。
殺気立つ中教えてくれたのは、ひとえに自身の気に入りの生徒であるアーリアが居たからであろう。彼女が自身の味方になると信じ切っての行動だ。
「学園長派には容赦しない」
それでも、学園長派になるようだったら容赦しないと笛を構えた教師に対し、アーリアは眉間にしわをよせる。
もっとも彼女だけでなく、スコールも事情を知らないリノアでさえも非常時にくだらない争いをしている事に苛々と顔をゆがめていた。
「先生・・・」
―――ピィィィィィ
アーリアが剣を抜くと同時に、笛の音が響いた。
現れたのはアルケオダイノスで、周りの生徒たちも戸惑い逃げる。
モンスターは笛の音に惹かれて現れるだけで、教師が操っているわけではないからだ。
「ふざけないでください」
「アーリア!」
「……ファイガ!!!」
強い魔法がアルケオダイノスを屠る。
そのまま、呆然とする生徒の間を抜け、ショートソードを握ったまま教師の前にたつ。
そして、ゆっくりと切っ先を教師へと向けた。
「先生、今ガルバディアからこのガーデンを向けてミサイルが発射されてます
こんな事してたらみんな死んでしまう!」
「マスター・ノーグに逆らうのか!?」
「学園に無用な戦いを生むような人を、学園の指導者としてなんて認めない
学園長でもマスターでも、そんなの私はどっちでもいい
みんなを殺すような人だったら私にとっては学園長もマスターも敵です」
どちらでもいいの言葉通り、まっすぐと彼女は教師を見つめた。
信頼していた生徒から向けられた殺気に、教師はたじろぎ、助けを呼ぶ様に周りを見た。
そこで漸く生徒たちが傷つき、倒れている事に気付く。
瞬間、浮かんだのは僅かな罪悪感と後悔。
自分が教師を目指していたのは、金の為だったのか生徒の為だったのか。
「・・・ああ」
確かに自分は誇りをもって、教師になったはずなのに。
がくりと、膝を着く教師を見て、アーリアはゆっくりとショートソードをしまった。そして、自身も膝をつき教師と目を合わせる。
白い顔が不自然な笑顔を作る。
「先生、お願いします
手伝ってください」
頷く教師、そんな二人のやり取りをみて、見ていただけの生徒たちがわらわらと駆け寄る。
口々にミサイルは本当か、と尋ねて。
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)