ドープさんと話して少しだけすっきりした。
それは向こうも同じらしくて、少しすっきりした表情をしていた。
「もし、私達が助けを求めたら君たちは助けてくれるかね」
「勿論です
その為に私達が居ます」
初めてこの世界で約束をした。
話が終わったころには、すっかり辺りは暗くなってしまっていた。
「そういえば、ガーデンの・・・誰だったかに広間を貸してくれと言われてね
楽器の演奏をすると言っていた
もうすぐ始まるだろうから行ってみてはどうかね」
「・・・そうします
色々とありがとうございました」
頭を下げ、アーリアはまたゆっくりと歩き始める。
彼女と入れ替わりで老婆が、ドープへと話しかけていた。
駅長の家の前の広場に近づくときらびやかな光と音楽が聞こえてきた。
残念なことにもう演奏は最後らしく、ジャンと大きく音がなり音は止まってしまった。
それでも広間のほうへ近づけば、スコールの姿が見えた。
「スコール?」
「・・・もう大丈夫なのか」
驚き故にか、独り言の様なその言葉が真っ先に出た。それに微妙な顔をして、アーリアは頷く。
学園のリーダーになったと言うスコールはプレッシャーで疲れてしまっているのだろうと考え、彼女はスコールを引き止めることはしなかった。
スコールは無理をするなと言うことだけ言って、ガーデンへと帰って行った。
ふわふわと落ち着かない思考で、ぼんやりとその後ろ姿を眺め続ける。
「アーリア!!?」
「リノア」
スコールを追いかけてきたのだろう。
なぜかドレスを着たリノアが、心配を顔に張り付けてアーリアの体を掴む。
「もう大丈夫なの?」
「うん」
「ねぇ、ちょっとアーリアお話しない?」
スコールをあきらめ、リノアはアーリアにそう笑いかけた。
病み上がりの彼女を気遣い、階段に腰かける。やはり立ったままはつらいようで、彼女はふうと小さく息を吐いた。
「あのね、まず謝らなきゃいけないことがあるの」
「え?」
「私達アーリアに頼りすぎてたから・・・」
「そんなことない
私がやりたくてやってるんだよ」
リノアを守りたかっただけだと、そう話すその眼がふいに遠くを見る。
目線自体はリノアを向いていたが、リノアを見ていはいなかった。
―――まただ
「リノアに怪我をしてほしくなかった」
―――違う
「私は、リノアに「アーリア!」」
その言葉を遮って。リノアは声を上げる。
「ねぇ、アーリア
アーリアは一体、私を誰の代わりにしようとしてるの?」
ぴしり、とアーリアが固まった。言葉が空気の塊として口から洩れる。それは何の音も発しない。
「代わり・・・」
なるわけない。そう、アーリアは思った。
―――だって彼女、エアリスは
「あ、話したくないならいいの
アーリアにはたくさん助けてもらったから
だから、代わりでも・・・いいよ」
伸ばされた手、柔らかい腕が、アーリアの頭を包み込んだ。
その手は昔、エアリスに抱きしめられたときによく似ていたけど、少しだけリノアの方が暖かい。
「ああああああああ」
代わりになんてならない。
―――エアリスは、あの時に死んでしまった
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)
それは向こうも同じらしくて、少しすっきりした表情をしていた。
「もし、私達が助けを求めたら君たちは助けてくれるかね」
「勿論です
その為に私達が居ます」
初めてこの世界で約束をした。
28.満月が輝くころ
話が終わったころには、すっかり辺りは暗くなってしまっていた。
「そういえば、ガーデンの・・・誰だったかに広間を貸してくれと言われてね
楽器の演奏をすると言っていた
もうすぐ始まるだろうから行ってみてはどうかね」
「・・・そうします
色々とありがとうございました」
頭を下げ、アーリアはまたゆっくりと歩き始める。
彼女と入れ替わりで老婆が、ドープへと話しかけていた。
駅長の家の前の広場に近づくときらびやかな光と音楽が聞こえてきた。
残念なことにもう演奏は最後らしく、ジャンと大きく音がなり音は止まってしまった。
それでも広間のほうへ近づけば、スコールの姿が見えた。
「スコール?」
「・・・もう大丈夫なのか」
驚き故にか、独り言の様なその言葉が真っ先に出た。それに微妙な顔をして、アーリアは頷く。
学園のリーダーになったと言うスコールはプレッシャーで疲れてしまっているのだろうと考え、彼女はスコールを引き止めることはしなかった。
スコールは無理をするなと言うことだけ言って、ガーデンへと帰って行った。
ふわふわと落ち着かない思考で、ぼんやりとその後ろ姿を眺め続ける。
「アーリア!!?」
「リノア」
スコールを追いかけてきたのだろう。
なぜかドレスを着たリノアが、心配を顔に張り付けてアーリアの体を掴む。
「もう大丈夫なの?」
「うん」
「ねぇ、ちょっとアーリアお話しない?」
スコールをあきらめ、リノアはアーリアにそう笑いかけた。
病み上がりの彼女を気遣い、階段に腰かける。やはり立ったままはつらいようで、彼女はふうと小さく息を吐いた。
「あのね、まず謝らなきゃいけないことがあるの」
「え?」
「私達アーリアに頼りすぎてたから・・・」
「そんなことない
私がやりたくてやってるんだよ」
リノアを守りたかっただけだと、そう話すその眼がふいに遠くを見る。
目線自体はリノアを向いていたが、リノアを見ていはいなかった。
―――まただ
「リノアに怪我をしてほしくなかった」
―――違う
「私は、リノアに「アーリア!」」
その言葉を遮って。リノアは声を上げる。
「ねぇ、アーリア
アーリアは一体、私を誰の代わりにしようとしてるの?」
ぴしり、とアーリアが固まった。言葉が空気の塊として口から洩れる。それは何の音も発しない。
「代わり・・・」
なるわけない。そう、アーリアは思った。
―――だって彼女、エアリスは
「あ、話したくないならいいの
アーリアにはたくさん助けてもらったから
だから、代わりでも・・・いいよ」
伸ばされた手、柔らかい腕が、アーリアの頭を包み込んだ。
その手は昔、エアリスに抱きしめられたときによく似ていたけど、少しだけリノアの方が暖かい。
「ああああああああ」
代わりになんてならない。
―――エアリスは、あの時に死んでしまった
(2015/01/01)
(2016/08/14修正)