Eternal Oath

―――エアリスを一人にするわけにはいかない


「違う・・・違うの・・・」

一人になりたくなかったのは私で。

29.一雫


「・・・っ」


リノアの腕の中、アーリアの声が弱くなる。
濡れるような感覚が開いた胸から伝わり、リノアはひたすらに彼女の背を撫で続ける。


―――エアリスが居ないと認めてしまうのが怖かった
認めてしまったら私は一人だから

でも、それ以上に

大好きな彼女が居なくなったことを認めたくなくて―――



「・・・っ!!」


嗚咽が続く。抱き着く彼女の手は苦しいが我慢しようとそうリノアは思った。
なぜならリノアはアーリアが自分より年下だったと思いだしていたからだ。


アーリア・・・」


泣き声に寄って来たセルフィ達は、泣いているアーリアを見て驚く。
とん、とん、ゆっくりと背中を叩く。あやすように続けられるそれにアーリアの嗚咽は小さくなっていった。


「・・・っ」


弱くなった声と、手。崩れ落ちないようアーリアの体を支える。半身ならリノアでも抱えられるほどには彼女の体は小さく、軽かった。



「っぅ・・・・
・・っ・さみ、し・・・」


寂しい、と聞こえた。
リノアが驚いた瞬間、力が抜けて、アーリアが眠り落ちる。
見ているだけだった仲間達は眠ったのを確認し近づいた。


アーリア・・・」
「何があったんだ?」

「分らない
私を誰の代わりにしてるのか聞こうと思ったら
急に泣き始めちゃったの」


代わり?と首をかしげる面々の中、納得したようにアーヴァインが頷いた。
ずっと覚えていた違和感は、それが原因だったのかと。


「代わり?」
アーリアはずっと私の事じゃなくて、たぶん他の誰かを守りたかったんだと思う
私を見て遠い目を良くしてたから」



今の泣き様から見て、その”誰か”はアーリアにとってすごく大事な人だったのであろう。
こんなに泣いてしまう様な、16歳の少女が何年も思い悩むような、”何か”を考え付くはずもなく。


「寂しい・・・か」


ガーデンも自分たちもいるのに出てきたその言葉。思えば彼女の家族の話を聞いたことがない。
考えても仕方のないことだと、リノアは首を振って、仲間を見上げた。


「とにかく、アーリアを運ばなきゃ」
「そうね」


ちらりと見えたその寝顔は、ただの少女のもので。
キスティスは、戸惑い、触ろうとした手を止めてしまう。
それには気付かず、女性には持ち上げられないと思ったのか、ゼルが隣からアーリアを抱え上げた。


(2015/01/01)
(2016/08/14修正)