Eternal Oath

アーリアが笑う様になった。
その翌日アーリアが居なくなった。

31.君を守る


「風神先輩と雷神先輩・・・?」

リノアと仲直り(?)した日の夜訪ねてきたのは風神と雷神の二人だった。


「今、平気」
「はい、大丈夫ですよ」


二人が訪ねてきた理由は見当がつかないが、部屋に招き入れ椅子に座らせる。
SeeDになり部屋が広くなったとはいえ、三人も入ると少し狭い。


浮かない顔の二人にアーリアは首を傾げる。
「急にどうしたんですか?」
アーリア、復帰、祝」
「そうだもんよ!」


祝っているとは思えない表情で、二人は言う。
それに違和感を覚えたものの、復帰を祝ってくれてるのならありがたく受けておこう。そうアーリアは思い、笑顔で礼を言う。
初めて見る彼女の笑顔に、二人は面をくらいつつ、茶や菓子を机の上に広げた。


「二人で選んだもんよ」
「甘、好?」
「はい!大好きです!

食べてもいいんですか?」


頷く風神を確認して、菓子の袋の一つを開いた。
頂きますと手を合わせて、一つまみ菓子を口の中に入れる。
しつこくない甘さが口に広がり、思わず顔を綻ばせる。


「怪我はもう大丈夫だもんよ?」
「はい、当分は無理は禁止って言われたましたけど

学園中のみんなが回復魔法を掛けてくれたみたいで」
「風神と俺も少しだけど協力したもんよ!」

「本当ですか?
ありがとうございます」


先輩方のおかげで、治りました。そうアーリアは満面の笑みを浮かべた。それを見た二人の顔に浮かんだのは、罪悪感。
途端、ぐにゃりと景色が歪んだ。


「先、輩?」


突然襲ってきた、強い眠気にアーリアは二人を見る。
罪悪感の正体はこれかと、アーリアはやけに冷静な思考のまま眼を閉じた。


「・・・・すー」
「ごめん・・・だもんよ」
「謝」


眠り込んだアーリアを抱え上げ、二人はバラムガーデンを後にした。
睡眠薬が良く効いているのか、雷神の腕の中一切動く気配はなかった。
向かうはガルバディア。サイファーの元。


* * *


何とか二人でガルバディアに着くと、サイファーに二人は迎えられた。
魔女的にも手駒が増えることは吝かではないらしく、特に何かを言われることは無かったらしい。


「よく来た・・・」


いつもと同じ自信満々の笑顔を浮かべたサイファーが固まる。
不測の事態には弱いらしい。
つかつかと無言で雷神に近づくと、その腕からアーリアを奪い取る。
寝てるだけだもんよ!と焦って説明する雷神の言葉は聴いていない。


「・・・
アーリア


その体を確かめる様に抱き、二人の顔を見た。


「これはどういう事だ?」
「あいつらに、アーリアは任せられないもんよ」
アーリア、危篤、泣
雨達供、アーリア為非」


険しくなった瞳に浮かんだのは怒り。
抱きしめた体を、より強く抱きしめて。二人に歓迎の意を伝える。
その様子に、風神と雷神はやはり連れて来てよかったとそう思った。




―――一方そのころガーデンでは

アーリアが居ないことが問題になっていた。

アーリアが居ない!」
「部屋調べてみよーよ!」

「・・・武器とか置きっぱなしだったし
部屋で食べてたお菓子とか飲み物とかそのままだったわ」
「誘拐!!?」


アーリアが居ない事で大騒ぎになっていて、風神雷神の失踪には誰も気が付かなかった。


(2015/01/01)
(2016/08/14修正)