過去の話をしていても、サイファーは前の様に辛そうな顔をすることはなかった。
ただ、魔女の非道な命令を行うときにだけ辛そうな顔をする。
そんなサイファーが心配で。
助けたいと、アーリアは思った。
「あれ?魔女は?」
過去、記憶。それらを見れるかという魔女の願いを叶えるため、アーリアはセントラ大陸の花畑に降りる。
・・・魔女は体調が悪いとかで出てこない。そのことに違和感を覚えるが、それ以上にチャンスだと思った。
地面に座り込み、星に聞くのは、記憶の見方でも過去の探り方でもなく。
魔女の魔法の解き方。
彼女は地面を抱きしめる様にしてしきりに何かを呟いている。見張り代わりについてきたサイファーはそれに驚いた。
始めてみるその姿は、とてもじゃないが星との会話などと特別なことをしているようには見えなかったからだ。
「―――え?
どういう事・・・?」
地面に座り込んでいたアーリアが立ち上がり、狼狽する。その顔色は少し悪い。そのまま何度か頷き、そう言う事か、と呟いた。
星の声の良く聞こえるこの場所で知ったのは一つの事実。
それは、魔女の力について―――
「え・・・?」
アーリアは会話をしながら、星がつながっているというのは本当の事かもしれないと思っていた。聞こえる声も大地から感じる力も、すべて元居た世界と似たものだ。そもそも、星の声が聞こえると言う事自体おかしいものだったとアーリアは今更ながらに気付く。
青い顔で、それでも彼女がさらに星の声を聞こうとした瞬間サイファーに腕を掴まれた。
「アーリアっ!帰るぞ」
アーリアの邪魔にならないよう、近くに立ち元孤児院をなつかしそうに見たりして待っていが、兵士からの伝令が入ったらしい。見上げれば、確かに遠くにバラムの姿。
「待って!」
「だめだ。
バラムガーデンが近くに来てる」
丸腰のアーリアを戦闘に巻き込むわけにはいかない。
引きずるようにして、サイファーはガーデンへアーリアを連れ帰ると、その部屋に鍵をかけ出て行った。
魔女も、サイファーも、風神雷神もバラムガーデンに目が向いている。
星から聞けたのは魔女の力についての真実。
ここに居ても、サイファーを本当の意味で救う事はできないだろう。
脱出するのなら見張りのいない今がチャンスだ。
「ごめんね」
それだけを言い残し、アーリアはその部屋から消えた。
(2015/07/11)
(2016/08/14修正)
ただ、魔女の非道な命令を行うときにだけ辛そうな顔をする。
そんなサイファーが心配で。
助けたいと、アーリアは思った。
34.この星、この世界
「あれ?魔女は?」
過去、記憶。それらを見れるかという魔女の願いを叶えるため、アーリアはセントラ大陸の花畑に降りる。
・・・魔女は体調が悪いとかで出てこない。そのことに違和感を覚えるが、それ以上にチャンスだと思った。
地面に座り込み、星に聞くのは、記憶の見方でも過去の探り方でもなく。
魔女の魔法の解き方。
彼女は地面を抱きしめる様にしてしきりに何かを呟いている。見張り代わりについてきたサイファーはそれに驚いた。
始めてみるその姿は、とてもじゃないが星との会話などと特別なことをしているようには見えなかったからだ。
「―――え?
どういう事・・・?」
地面に座り込んでいたアーリアが立ち上がり、狼狽する。その顔色は少し悪い。そのまま何度か頷き、そう言う事か、と呟いた。
星の声の良く聞こえるこの場所で知ったのは一つの事実。
それは、魔女の力について―――
「え・・・?」
アーリアは会話をしながら、星がつながっているというのは本当の事かもしれないと思っていた。聞こえる声も大地から感じる力も、すべて元居た世界と似たものだ。そもそも、星の声が聞こえると言う事自体おかしいものだったとアーリアは今更ながらに気付く。
青い顔で、それでも彼女がさらに星の声を聞こうとした瞬間サイファーに腕を掴まれた。
「アーリアっ!帰るぞ」
アーリアの邪魔にならないよう、近くに立ち元孤児院をなつかしそうに見たりして待っていが、兵士からの伝令が入ったらしい。見上げれば、確かに遠くにバラムの姿。
「待って!」
「だめだ。
バラムガーデンが近くに来てる」
丸腰のアーリアを戦闘に巻き込むわけにはいかない。
引きずるようにして、サイファーはガーデンへアーリアを連れ帰ると、その部屋に鍵をかけ出て行った。
魔女も、サイファーも、風神雷神もバラムガーデンに目が向いている。
星から聞けたのは魔女の力についての真実。
ここに居ても、サイファーを本当の意味で救う事はできないだろう。
脱出するのなら見張りのいない今がチャンスだ。
「ごめんね」
それだけを言い残し、アーリアはその部屋から消えた。
(2015/07/11)
(2016/08/14修正)