見張りのガルバディア兵を眠らせて廊下に出る。
丸腰で敵陣。
状況は最悪だけれど、それでもここにいたってどうしようもない。
魔女を殺しても仕方がないのなら、こちら側へいる意味なんてないんだから。
だから
「―――だから
ごめんね、サイファー」
誰もいないこの部屋に、そう言い残して私は脱出を始めた。
ガルバディアガーデンへと侵入したスコール達がまず見つけたのは風神雷神の二人であった。二人は疲れ切った様子であり、バラムの時の様にスコール達へ牙を向けることもない。
母校との戦争と言う望んでもいない展開に、二人の心は悲鳴を上げていた。
「アーリアは!!?」
問い詰めるリノアの声に、二人は静かに首を振る。
「アーリア・・・無事」
「応接室にいるもんよ
だから、安全だもんよ」
その言葉にリノアたちは安堵する。病み上がりで丸腰の彼女が戦闘に巻き込まれでもしたらそんな心配はしなくて済みそうだ。
アーリアを助けるべきか、そんな話をしようとした途端―――。
―――カタン
小さな音が鳴る。
「っモンスター!?」
スコールとゼルが一番に武器を構える。しかし、飛び出してきたモノをみて、二人は武器を下した。
「「アーリア!?」」
「アーリア!!」
二人が驚きの声をあげるのと同時に、リノアが駈け出してその人物に抱き付いた。
「リノア・・・」
あの日、学園長室で見た。同じ表情でアーリアは笑った。それに安心して涙ぐむリノアの瞳をアーリアの指が拭った。
そこで漸くスコール達も事態を理解。アーリアの方へ近寄った。
「どうやって・・・」
「普通にでてきましたよ
モンスターも兵士も見つからないようにここまできて・・・そうしたら、リノアの声がしたから」
キスティスの問いに答え、ニッコリとリノアを振り向いた。それに手を振ることでリノアは答える。
そんなリノアの隣を通り抜け、アーリアは風神と雷神の前に立つ。罪悪感にたじろぐ彼らに対し、心底申し訳なさそうに頭を下げた。
「雷神先輩・・・風神先輩も
ごめんなさい
私、今はサイファーを助けてあげられない」
そこまで言うと、ふと彼女の表情に影が落ちる。しかし、すぐにそれは隠された。
「アーリア・・・?」
訝しげに見るスコールを笑顔で黙殺する。驚きを顔に浮かべた風神と雷神は、焦ったように口を開いた。
まさか、自分達の行動が彼女に余計な心労を重ねる結果になるとは思わなかったのだ。これではスコール達と同じだ。彼女に無理をさせるだけである。
「何もしなくてもいいもんよ!」
「え?
それは嫌だ、その気持ちから雷神は声を上げた。
「・・・サイファーの為に私を呼んだんじゃないんですか?」
心底不思議そうにアーリアは首をかしげる。
「否、アーリア為」
「これ以上アーリアに無理してほしくなかったもんよ
スコール達といるとアーリア無理するもんよ」
「無理・・・?」
手を口に当て考え込む。無理したつもりなど毛頭なかった。しかし、思い返してみれば確かに自分の不得意なことばかりして来た様な気もした。
「そっか、私無理してたんだ・・・」
誰にも聞こえないようにそう呟いて。
風神達にありがとうと頭を下げた。
(2015/07/11)
丸腰で敵陣。
状況は最悪だけれど、それでもここにいたってどうしようもない。
魔女を殺しても仕方がないのなら、こちら側へいる意味なんてないんだから。
だから
「―――だから
ごめんね、サイファー」
誰もいないこの部屋に、そう言い残して私は脱出を始めた。
35.ありがとう。さようなら
ガルバディアガーデンへと侵入したスコール達がまず見つけたのは風神雷神の二人であった。二人は疲れ切った様子であり、バラムの時の様にスコール達へ牙を向けることもない。
母校との戦争と言う望んでもいない展開に、二人の心は悲鳴を上げていた。
「アーリアは!!?」
問い詰めるリノアの声に、二人は静かに首を振る。
「アーリア・・・無事」
「応接室にいるもんよ
だから、安全だもんよ」
その言葉にリノアたちは安堵する。病み上がりで丸腰の彼女が戦闘に巻き込まれでもしたらそんな心配はしなくて済みそうだ。
アーリアを助けるべきか、そんな話をしようとした途端―――。
―――カタン
小さな音が鳴る。
「っモンスター!?」
スコールとゼルが一番に武器を構える。しかし、飛び出してきたモノをみて、二人は武器を下した。
「「アーリア!?」」
「アーリア!!」
二人が驚きの声をあげるのと同時に、リノアが駈け出してその人物に抱き付いた。
「リノア・・・」
あの日、学園長室で見た。同じ表情でアーリアは笑った。それに安心して涙ぐむリノアの瞳をアーリアの指が拭った。
そこで漸くスコール達も事態を理解。アーリアの方へ近寄った。
「どうやって・・・」
「普通にでてきましたよ
モンスターも兵士も見つからないようにここまできて・・・そうしたら、リノアの声がしたから」
キスティスの問いに答え、ニッコリとリノアを振り向いた。それに手を振ることでリノアは答える。
そんなリノアの隣を通り抜け、アーリアは風神と雷神の前に立つ。罪悪感にたじろぐ彼らに対し、心底申し訳なさそうに頭を下げた。
「雷神先輩・・・風神先輩も
ごめんなさい
私、今はサイファーを助けてあげられない」
そこまで言うと、ふと彼女の表情に影が落ちる。しかし、すぐにそれは隠された。
「アーリア・・・?」
訝しげに見るスコールを笑顔で黙殺する。驚きを顔に浮かべた風神と雷神は、焦ったように口を開いた。
まさか、自分達の行動が彼女に余計な心労を重ねる結果になるとは思わなかったのだ。これではスコール達と同じだ。彼女に無理をさせるだけである。
「何もしなくてもいいもんよ!」
「え?
それは嫌だ、その気持ちから雷神は声を上げた。
「・・・サイファーの為に私を呼んだんじゃないんですか?」
心底不思議そうにアーリアは首をかしげる。
「否、アーリア為」
「これ以上アーリアに無理してほしくなかったもんよ
スコール達といるとアーリア無理するもんよ」
「無理・・・?」
手を口に当て考え込む。無理したつもりなど毛頭なかった。しかし、思い返してみれば確かに自分の不得意なことばかりして来た様な気もした。
「そっか、私無理してたんだ・・・」
誰にも聞こえないようにそう呟いて。
風神達にありがとうと頭を下げた。
(2015/07/11)