Eternal Oath

「分りました
無理はしないようにします」

そう言って笑う事しかこの人たちに答えるすべはなかった。

36.過去と違和感


「はい、アーリア

話が終わったアーリアに、キスティスが渡したのは彼女の武器のショートソードと銃。勝手に部屋入ったと言う謝罪と共に渡されたそれを受け取りアーリアは遠慮がちにキスティスに尋ねる。

「ありがとうございます

あの・・・ベッドの近くに小さな玉の入った袋ってありませんでしたか?」
「あったけれど・・・持ってきてないわ
どうかしたの?」
「いえ・・・」

アーリアは確かめるように、ショートソードと銃それぞれに空いた穴にはまっている玉を撫ぜた。そういえば良く彼女はショートソードの装飾品を変えていたとキスティスは思い出す。
まあしょうがない。そうとでも言いたそうに彼女は顔をあげた。


「スコール、これから魔女の所へ向かうんだよね?」
「ああ」

「ってまさかアーリアついてくるつもりなの!?」


え?そのつもりで武器持ってきてくれたんじゃなかったんですか?
そう首をかしげるアーリアに、絶対安静だとカドワキに伝えられた言葉を投げかけると、彼女自身自身も思い出したような反応を見せ、それでもついていくと声を上げた。


「だめだ」
「どうしても?」


首をかしげるアーリアに違和感を覚えながらもスコールはそう答える。


「でも私魔女がどこにいるか知ってるよ?」
「なっ」


思わずスコールが風神雷神を見ると、二人はそろって首を横へと振った。彼ら自身も知らない情報をなぜアーリアが知っているのか・・・。

口から出たでまかせか、それとも真実か。


「えっとね、私捕まってた場所あるでしょ?
その先の廊下に一番兵士がいたの

他の場所は五分とか・・・酷い所だと十分に一回兵士が見回りしてるくらいだったんだけど
そこだけは頻繁に兵士が居て、一番隠れるの大変だったから」
「そこに魔女が居る可能性が高いのか・・・」

「高いってより・・・いると思う

魔女は―――」


―――気持ち悪い。
そう言いかけて、彼女は口を噤む。それはおそらく彼女しか感じることのできない感覚だから。
訝しむ様にみるスコールに、にっこりと笑顔を返せば戸惑う様に押し黙った。


「・・・戦闘には極力参加しない事」
「分った!」


満面の笑みで彼女が頷く。その後ろでキスティスが溜息を、アーヴァインが苦笑いを、そしてその他の面々が心配そうな表情をした。
それに大丈夫とアーリアは言う。

「私の来た方へ行けばいいから」

「・・・分った
いくぞ」

リーダーの言葉に各々ゆっくりと動き出す。”極力戦闘には参加しない”アーリアは静かに銃を抜いた


(2015/07/11)
(2016/08/14修正)