震えるかと、そう思った。
でも、そんなことはなく、まっすぐ向けられた銃口が火を噴いた。
アーリア達が学園長室に入ってすぐの事だった。
―――パンッ
アーヴァインが扱う其れよりも、幾分高い破裂音が部屋に響く。
それは、冷静になろうと必死だったスコール達も、スコール達を心配していたアーヴァインも、余裕そうな表情を浮かべているがやはりどこか必至なサイファーも、誰もが予想しなかった音。
その破裂音はまっすぐに、自身を奮い立たせる言葉を吐こうとしたサイファーの頬を掠めた。
「アーリア・・・?」
「ごめんね
でも、私はそんなに強くないから」
彼の声を言葉を聞いて、揺らがないでいられるほど強くない。
きっぱりと言い切る彼女は、そこにいる誰よりも強かった。
どう言う訳か微動だにしなくなったサイファーから視線を外し、アーリアは銃口を魔女へと向ける。つられるように、スコール達も意識を建て直し、魔女へと武器を向けた。
「役立たずめ」
冷たく零し、魔女は床をすり抜ける。この下は大講堂だ。
急いで向かうと、魔女は隠れるでもなく堂々としていて、憎々しげにスコールを睨み、何かを呟く。
「おまえが伝説のSeeDだったのか」
「(伝説の?)・・・」
「アーリア、下がっていろ」
黙って、アーリアはスコールの言葉に従う。本調子でない自分が前に居ては逆に足手まといだと言う考えからだ。
魔女が手を振り上げ、スコール達が武器を構えたその瞬間―――。
「俺は魔女イデアの騎士だ。俺がいる限り、イデアには指一本触れさせない」
「んで・・・」
―――麻痺の解けたサイファーが間に割り込んだ。
「なんで!」
叫んだのはアーリア。指先の震えが銃へと伝わり、歪んだ軌道がサイファーの横を通り抜ける。今度は当たらず発砲音が虚しく響いた。
この短時間で戻ってきたと言う事は魔女の仕業なのだろう。
「―――っ、魔女ぉ」
ぎりりと、音を立てて歯を噛みしめ、低い声でアーリアは唸る。アーリアらしからぬ声色に、何名かは戦闘中にも関わらず振り向いた。
始めてみるその様子に驚いたのは、スコール達だけではなく、サイファーも驚いた様にアーリアを一瞥する。
そんな彼らには見向きもせず、まっすぐ魔女を睨んだままアーリアは剣を抜いた。
「アーリア!?」
それに気づいたゼルが声をあげるも、魔女とサイファーの攻撃の中では止めることもままならない。魔女の攻撃を受けきったゼルが振り向いたころには、もうその場にアーリアの姿はなかった。
アーリアは、走っていた。魔女の攻撃をよけ、伸ばされたスコールの手をよけ、最前線へ。
「リミットブレイク!スターストリーム!」
深く腰を据え剣を前にだしたアーリアを、薄緑の光が包み込む。その光はアーリアの後ろ薄く層を重ねると見方を包み込み、その傷と疲れを癒した。そして、アーリアの前、敵へは鋭い風の刃となって襲い掛かる。
まるで魔女の使うそれのような、得体のしれない攻撃になすすべもなくサイファーは吹き飛ばされ、魔女も片膝をついた。
「―――っは、っ」
同時にアーリアも大きく体制を崩したが、膝を崩すことは無かった。
(2015/08/16)
でも、そんなことはなく、まっすぐ向けられた銃口が火を噴いた。
38.怒
アーリア達が学園長室に入ってすぐの事だった。
―――パンッ
アーヴァインが扱う其れよりも、幾分高い破裂音が部屋に響く。
それは、冷静になろうと必死だったスコール達も、スコール達を心配していたアーヴァインも、余裕そうな表情を浮かべているがやはりどこか必至なサイファーも、誰もが予想しなかった音。
その破裂音はまっすぐに、自身を奮い立たせる言葉を吐こうとしたサイファーの頬を掠めた。
「アーリア・・・?」
「ごめんね
でも、私はそんなに強くないから」
彼の声を言葉を聞いて、揺らがないでいられるほど強くない。
きっぱりと言い切る彼女は、そこにいる誰よりも強かった。
どう言う訳か微動だにしなくなったサイファーから視線を外し、アーリアは銃口を魔女へと向ける。つられるように、スコール達も意識を建て直し、魔女へと武器を向けた。
「役立たずめ」
冷たく零し、魔女は床をすり抜ける。この下は大講堂だ。
急いで向かうと、魔女は隠れるでもなく堂々としていて、憎々しげにスコールを睨み、何かを呟く。
「おまえが伝説のSeeDだったのか」
「(伝説の?)・・・」
「アーリア、下がっていろ」
黙って、アーリアはスコールの言葉に従う。本調子でない自分が前に居ては逆に足手まといだと言う考えからだ。
魔女が手を振り上げ、スコール達が武器を構えたその瞬間―――。
「俺は魔女イデアの騎士だ。俺がいる限り、イデアには指一本触れさせない」
「んで・・・」
―――麻痺の解けたサイファーが間に割り込んだ。
「なんで!」
叫んだのはアーリア。指先の震えが銃へと伝わり、歪んだ軌道がサイファーの横を通り抜ける。今度は当たらず発砲音が虚しく響いた。
この短時間で戻ってきたと言う事は魔女の仕業なのだろう。
「―――っ、魔女ぉ」
ぎりりと、音を立てて歯を噛みしめ、低い声でアーリアは唸る。アーリアらしからぬ声色に、何名かは戦闘中にも関わらず振り向いた。
始めてみるその様子に驚いたのは、スコール達だけではなく、サイファーも驚いた様にアーリアを一瞥する。
そんな彼らには見向きもせず、まっすぐ魔女を睨んだままアーリアは剣を抜いた。
「アーリア!?」
それに気づいたゼルが声をあげるも、魔女とサイファーの攻撃の中では止めることもままならない。魔女の攻撃を受けきったゼルが振り向いたころには、もうその場にアーリアの姿はなかった。
アーリアは、走っていた。魔女の攻撃をよけ、伸ばされたスコールの手をよけ、最前線へ。
「リミットブレイク!スターストリーム!」
深く腰を据え剣を前にだしたアーリアを、薄緑の光が包み込む。その光はアーリアの後ろ薄く層を重ねると見方を包み込み、その傷と疲れを癒した。そして、アーリアの前、敵へは鋭い風の刃となって襲い掛かる。
まるで魔女の使うそれのような、得体のしれない攻撃になすすべもなくサイファーは吹き飛ばされ、魔女も片膝をついた。
「―――っは、っ」
同時にアーリアも大きく体制を崩したが、膝を崩すことは無かった。
(2015/08/16)