「みんな、イデアを探そう」
そう前を向いて話す彼女は、そう皆に道を指し示した。ガルバディアの時と同じ。いつだって冷静に、状況に沿った選択をする。
まるで、ベテランのSeeDの様に。
「イデアなら、”イデアの家”に戻っているそうよ」
キスティスがそう答えた。
「あ・・・」
その建物はあの花畑の奥に佇んでいた。長い間放置されていたのだろう、壁はところどころ崩れ廃墟の様相だ。
その様子を感慨深げに眺めながら、スコール達は建物へと歩みを進める。その様子はあの時のサイファーの姿とよく似ていた。本当にここで彼らは育ったのだと、アーリアが思うのに十分な姿だった。
「ね、スコール」
「・・・」
花畑に寄っていきたい、そう続けようとした言葉をアーリアは止める。今のスコールは何も決断などできない。
きっとリノアの事で頭が一杯だ。
「(―――ちゃんと聞きに来るよ、その時に教えてね)」
ざわざわと、一層声を上げ始めた星に心の中で声をかける。今はリノアを何とかしなければ、スコールも動けないだろう。
それに、アーリアだってリノアが心配で仕方がないのだ。
***
魔女イデアは、建物の奥にある崩れたテラスに居た。
「(あれ?)」
シドと並ぶその姿に、小さな違和感を覚えアーリアは首を傾げる。魔女の、あの嫌な感じがしない。シドがいるせいだろうか?
「・・・私はずっと心を乗っ取られていました」
魔女イデアはゆっくりと語り始めた。
スコールを除いた面々はその話を真剣に聞く。
「私を支配していたのは魔女アルティミシア
アルティミシアは未来の魔女です
アルティミシアの目的はエルオーネを見つけ出すこと
エルオーネの不思議な力を求めているのです」
エルオーネという女性が過去を見せる能力をもっていることはアーリアも聞いていた。
「(過去を見ること・・・)」
それはガルバディアでアーリアが求められたことと一致する。過去を見て魔女はいったい何をしようとしていたのだろう。
アーリアのざわめきに呼応するように星が声を上げる。
悲鳴に聞こえるのはきっと星も魔女を迎合していないということだろう。
「私にできることは
私の心をアルティミシアに明け渡して私自身を無くしてしまうことでした
その結果が・・・みんなの知ってるとおり
ガルバディアに現れたのはアルティミシアに屈した私の抜け殻でした」
「時間に固執した抜け殻・・・」
考え込んだのはアーリアだけではなくキスティスやアーヴァインも同様に頭を抱える。
「あなたがたは魔女アデルのことを聞いたことがありますか?」
「まさか・・・」
魔女アデルは魔女戦争の折にエスタを支配していた魔女。ガーデンの授業で何度も習った魔女だ。
現在は行方不明となっているが、裏を返せばだれも死亡を確認していないということだ。
「アルティミシアはアデルを使うつもり・・・?」
「ええ」
イデアははっきりと頷いた。
(2016/02/28)
そう前を向いて話す彼女は、そう皆に道を指し示した。ガルバディアの時と同じ。いつだって冷静に、状況に沿った選択をする。
まるで、ベテランのSeeDの様に。
「イデアなら、”イデアの家”に戻っているそうよ」
キスティスがそう答えた。
40.答え
「あ・・・」
その建物はあの花畑の奥に佇んでいた。長い間放置されていたのだろう、壁はところどころ崩れ廃墟の様相だ。
その様子を感慨深げに眺めながら、スコール達は建物へと歩みを進める。その様子はあの時のサイファーの姿とよく似ていた。本当にここで彼らは育ったのだと、アーリアが思うのに十分な姿だった。
「ね、スコール」
「・・・」
花畑に寄っていきたい、そう続けようとした言葉をアーリアは止める。今のスコールは何も決断などできない。
きっとリノアの事で頭が一杯だ。
「(―――ちゃんと聞きに来るよ、その時に教えてね)」
ざわざわと、一層声を上げ始めた星に心の中で声をかける。今はリノアを何とかしなければ、スコールも動けないだろう。
それに、アーリアだってリノアが心配で仕方がないのだ。
***
魔女イデアは、建物の奥にある崩れたテラスに居た。
「(あれ?)」
シドと並ぶその姿に、小さな違和感を覚えアーリアは首を傾げる。魔女の、あの嫌な感じがしない。シドがいるせいだろうか?
「・・・私はずっと心を乗っ取られていました」
魔女イデアはゆっくりと語り始めた。
スコールを除いた面々はその話を真剣に聞く。
「私を支配していたのは魔女アルティミシア
アルティミシアは未来の魔女です
アルティミシアの目的はエルオーネを見つけ出すこと
エルオーネの不思議な力を求めているのです」
エルオーネという女性が過去を見せる能力をもっていることはアーリアも聞いていた。
「(過去を見ること・・・)」
それはガルバディアでアーリアが求められたことと一致する。過去を見て魔女はいったい何をしようとしていたのだろう。
アーリアのざわめきに呼応するように星が声を上げる。
悲鳴に聞こえるのはきっと星も魔女を迎合していないということだろう。
「私にできることは
私の心をアルティミシアに明け渡して私自身を無くしてしまうことでした
その結果が・・・みんなの知ってるとおり
ガルバディアに現れたのはアルティミシアに屈した私の抜け殻でした」
「時間に固執した抜け殻・・・」
考え込んだのはアーリアだけではなくキスティスやアーヴァインも同様に頭を抱える。
「あなたがたは魔女アデルのことを聞いたことがありますか?」
「まさか・・・」
魔女アデルは魔女戦争の折にエスタを支配していた魔女。ガーデンの授業で何度も習った魔女だ。
現在は行方不明となっているが、裏を返せばだれも死亡を確認していないということだ。
「アルティミシアはアデルを使うつもり・・・?」
「ええ」
イデアははっきりと頷いた。
(2016/02/28)