大塩湖を抜けるとそこは超近代国家でした。
「アーリアちゃん・・・・なんで魔女と」
「色々ありまして」
にっこりと浮かべられた笑顔に驚いたエスタの文官は驚き動きを止めた。大塩湖から監視していたのだろう魔女イデアが同行していることまでは突き止めていた。しかし、アーリアを見逃していたあたり詰めの甘さが垣間見える。
「こちらへどうぞ」
アーリアが同行していたため丁寧な口調で文官は全員を車に誘導した。
「この先ってもしかして・・・」
「博士からの命令で来たんだ
魔女が向かってるって聞いてたけどまさかアーリアちゃんまで一緒だとは思わなかったよ」
「やっぱり」
物憂げな声でアーリアが呟いた。
珍しい声色だと思ったのはアーヴァイン一人きり。話題はすぐにオダインへと移り追及する者はいなかった。
結果としてかちゃりと話題に交じった金属音は気づかれない。
やがて車が大統領官邸に着くと客室でオダイン博士を待たされる。スコールがゆっくりとリノアの体をソファに横たえアーリアはその隣に座りこんだ。
「リノア」
もうすぐだよ。
リノアの顔を覗き込む。
閉じたままの瞳はあいかわらず開くことはない。
* * *
「未来の魔女から私を遠ざけてほしいのです」
「簡単でおじゃる
隔離すればいいでおじゃる」
遅れてやってきたオダインにイデアがエスタを訪ねた理由を話す。魔女の姿にオダインはうきうきと話を聞いた。
一方でアーリアの表情は張り付けたような笑顔で固まっていた。
「アーリア・・・?」
「はい?」
「・・・」
それは思わずスコールが声をかけてしまうほどの異様さであった。
しかし返事とともに向けられた笑顔にスコールは押し黙った。
「相変わらずよく回る口だね?」
「アーリアでおじゃるか!?」
とことん周りを見ていないのだろう、オダインは声をかけられ初めてアーリアに気づいたようだ。
魔女の話はどこへやら今度は元に戻すやら体調の変化をみたいやらスコールたちにはさっぱり分からない話を始めた。アーリアは終始笑顔だがオダインの問いに答えることはない。
そして、彼女の顔から笑顔が消える。
「私はリノアを助けるためにここに来たの
オダインの毒にも薬にもならない話を聞きにきたんじゃないの」
「・・・え・・・・?」
すごく笑顔のままアーリアがきつい言葉を発した。
聞き間違えかと思い聞き返したのはセルフィだったがその表情を見て聞き間違いではないと悟る。
「エルオーネいる?
固まってしまったリノアを助けるためにエルオーネの力がいるの」
「そういうことだったんだ!
エルオーネさんなら大統領と一緒に宇宙にいるよ」
エスタの文官が大げさに声を上げた。アーリアは自然な笑みでそうなんだありがとうとそれに返した。
「・・・オダインが推薦状を書いてもいいでごじゃる」
「え?」
今度はアーリアが聞き返した。
その言葉に笑みを浮かべたのはスコールたちで、あちゃーと頭を抑えたのはエスタの文官だった。オダインが無償で何かを差し出すとは思えなかった。
「この娘をオダインに監察させるでおじゃる」
「リ―――「アーリアちゃん落ち着いて!!」」
かちゃりと小さな銃がオダインのこめかみにあてられた。
(2016/06/05)
42.エスタ
「アーリアちゃん・・・・なんで魔女と」
「色々ありまして」
にっこりと浮かべられた笑顔に驚いたエスタの文官は驚き動きを止めた。大塩湖から監視していたのだろう魔女イデアが同行していることまでは突き止めていた。しかし、アーリアを見逃していたあたり詰めの甘さが垣間見える。
「こちらへどうぞ」
アーリアが同行していたため丁寧な口調で文官は全員を車に誘導した。
「この先ってもしかして・・・」
「博士からの命令で来たんだ
魔女が向かってるって聞いてたけどまさかアーリアちゃんまで一緒だとは思わなかったよ」
「やっぱり」
物憂げな声でアーリアが呟いた。
珍しい声色だと思ったのはアーヴァイン一人きり。話題はすぐにオダインへと移り追及する者はいなかった。
結果としてかちゃりと話題に交じった金属音は気づかれない。
やがて車が大統領官邸に着くと客室でオダイン博士を待たされる。スコールがゆっくりとリノアの体をソファに横たえアーリアはその隣に座りこんだ。
「リノア」
もうすぐだよ。
リノアの顔を覗き込む。
閉じたままの瞳はあいかわらず開くことはない。
* * *
「未来の魔女から私を遠ざけてほしいのです」
「簡単でおじゃる
隔離すればいいでおじゃる」
遅れてやってきたオダインにイデアがエスタを訪ねた理由を話す。魔女の姿にオダインはうきうきと話を聞いた。
一方でアーリアの表情は張り付けたような笑顔で固まっていた。
「アーリア・・・?」
「はい?」
「・・・」
それは思わずスコールが声をかけてしまうほどの異様さであった。
しかし返事とともに向けられた笑顔にスコールは押し黙った。
「相変わらずよく回る口だね?」
「アーリアでおじゃるか!?」
とことん周りを見ていないのだろう、オダインは声をかけられ初めてアーリアに気づいたようだ。
魔女の話はどこへやら今度は元に戻すやら体調の変化をみたいやらスコールたちにはさっぱり分からない話を始めた。アーリアは終始笑顔だがオダインの問いに答えることはない。
そして、彼女の顔から笑顔が消える。
「私はリノアを助けるためにここに来たの
オダインの毒にも薬にもならない話を聞きにきたんじゃないの」
「・・・え・・・・?」
すごく笑顔のままアーリアがきつい言葉を発した。
聞き間違えかと思い聞き返したのはセルフィだったがその表情を見て聞き間違いではないと悟る。
「エルオーネいる?
固まってしまったリノアを助けるためにエルオーネの力がいるの」
「そういうことだったんだ!
エルオーネさんなら大統領と一緒に宇宙にいるよ」
エスタの文官が大げさに声を上げた。アーリアは自然な笑みでそうなんだありがとうとそれに返した。
「・・・オダインが推薦状を書いてもいいでごじゃる」
「え?」
今度はアーリアが聞き返した。
その言葉に笑みを浮かべたのはスコールたちで、あちゃーと頭を抑えたのはエスタの文官だった。オダインが無償で何かを差し出すとは思えなかった。
「この娘をオダインに監察させるでおじゃる」
「リ―――「アーリアちゃん落ち着いて!!」」
かちゃりと小さな銃がオダインのこめかみにあてられた。
(2016/06/05)