「やっぱりリノア、魔女になっちゃったんだ」
ラグナロクの中一番最後に目を覚ました。
アーリアはまだはっきりしない意識の中そう言った。
「アーリアは何でも知ってるんだね」
「リノア、大丈夫だよ
リノアのこと怖くなんてないよ
一緒にいたいよ」
脈絡もなく告げられた言葉。途端はらはらとリノアが泣いた。
優しく抱きしめて背をさすったアーリアの手は、はるで母のような暖かさだった。
「イデアの家に向かってるの」
アーリアはエスタにいた方がよかったのかもしれないけど、その言葉をリノアは飲み込んだ。
ちょうどよかった。確認したいことがあったんだとアーリアは話した。普段ならば何を?と続けるだろうリノアも今日ばかりは言葉が続かない。
イデアの家の花畑、その中心にアーリアはいた。彼女から遠く、花畑の入り口にはスコールとリノアの姿もうかがえる。仲間たちは皆スコールたちに気を使い遠く離れた場所で各々時間をつぶす。
スコール達から遠く、アーリアは花畑の中心に座り込んだ。ここは星の声がよく聞こえる。
「―――うん分かってる
本当は前ここに来た時に気づいてたんだよ
でもね、私まだやらなきゃいけないことがあるの」
だから教えてほしいとアーリアは乞う。古代セトラが行ってきたように、星の声の中から知識だけを拾い上げていった。
これから先時間に迷わないように。
魔女の力をなくすために。
「教えて、欲しいの」
大切な友達を守る魔法を。
ざあと風が一陣。ふわふわとなびく薄茶の髪を、白い花びらが覆う。薄緑の瞳が花弁の一つを追い、細められた。
セトラの民、と歌うような声がする。
「星より生まれ星と語り、星を開く。
セトラの民、約束の地へ帰る。
至上の幸福、星が与えし、定めの地」
ただいまと、彼女は言う。
おかえりと、星は言った。
(2016/06/05)
ラグナロクの中一番最後に目を覚ました。
アーリアはまだはっきりしない意識の中そう言った。
「アーリアは何でも知ってるんだね」
「リノア、大丈夫だよ
リノアのこと怖くなんてないよ
一緒にいたいよ」
脈絡もなく告げられた言葉。途端はらはらとリノアが泣いた。
優しく抱きしめて背をさすったアーリアの手は、はるで母のような暖かさだった。
44.セトラの民
「イデアの家に向かってるの」
アーリアはエスタにいた方がよかったのかもしれないけど、その言葉をリノアは飲み込んだ。
ちょうどよかった。確認したいことがあったんだとアーリアは話した。普段ならば何を?と続けるだろうリノアも今日ばかりは言葉が続かない。
イデアの家の花畑、その中心にアーリアはいた。彼女から遠く、花畑の入り口にはスコールとリノアの姿もうかがえる。仲間たちは皆スコールたちに気を使い遠く離れた場所で各々時間をつぶす。
スコール達から遠く、アーリアは花畑の中心に座り込んだ。ここは星の声がよく聞こえる。
「―――うん分かってる
本当は前ここに来た時に気づいてたんだよ
でもね、私まだやらなきゃいけないことがあるの」
だから教えてほしいとアーリアは乞う。古代セトラが行ってきたように、星の声の中から知識だけを拾い上げていった。
これから先時間に迷わないように。
魔女の力をなくすために。
「教えて、欲しいの」
大切な友達を守る魔法を。
ざあと風が一陣。ふわふわとなびく薄茶の髪を、白い花びらが覆う。薄緑の瞳が花弁の一つを追い、細められた。
セトラの民、と歌うような声がする。
「星より生まれ星と語り、星を開く。
セトラの民、約束の地へ帰る。
至上の幸福、星が与えし、定めの地」
ただいまと、彼女は言う。
おかえりと、星は言った。
(2016/06/05)