Eternal Oath

「やっぱりリノア、魔女になっちゃったんだ」

ラグナロクの中一番最後に目を覚ました。
アーリアはまだはっきりしない意識の中そう言った。

アーリアは何でも知ってるんだね」

「リノア、大丈夫だよ

リノアのこと怖くなんてないよ
一緒にいたいよ」
脈絡もなく告げられた言葉。途端はらはらとリノアが泣いた。
優しく抱きしめて背をさすったアーリアの手は、はるで母のような暖かさだった。

44.セトラの民


「イデアの家に向かってるの」

アーリアはエスタにいた方がよかったのかもしれないけど、その言葉をリノアは飲み込んだ。
ちょうどよかった。確認したいことがあったんだとアーリアは話した。普段ならば何を?と続けるだろうリノアも今日ばかりは言葉が続かない。



イデアの家の花畑、その中心にアーリアはいた。彼女から遠く、花畑の入り口にはスコールとリノアの姿もうかがえる。仲間たちは皆スコールたちに気を使い遠く離れた場所で各々時間をつぶす。


スコール達から遠く、アーリアは花畑の中心に座り込んだ。ここは星の声がよく聞こえる。

「―――うん分かってる
本当は前ここに来た時に気づいてたんだよ

でもね、私まだやらなきゃいけないことがあるの」

だから教えてほしいとアーリアは乞う。古代セトラが行ってきたように、星の声の中から知識だけを拾い上げていった。


これから先時間に迷わないように。

魔女の力をなくすために。


「教えて、欲しいの」
大切な友達を守る魔法を。


ざあと風が一陣。ふわふわとなびく薄茶の髪を、白い花びらが覆う。薄緑の瞳が花弁の一つを追い、細められた。




セトラの民、と歌うような声がする。



「星より生まれ星と語り、星を開く。

セトラの民、約束の地へ帰る。
至上の幸福、星が与えし、定めの地」




ただいまと、彼女は言う。


おかえりと、星は言った。


(2016/06/05)