Eternal Oath

「え?つっこむ―――?まじで」
「揺れるからどこかに掴まっていろ」
スコールが言った。


戸惑うラグナを気にすることなく、運転席に座るセルフィは楽しそうに腕を振り上げた。
その手の向かう先は主砲のスイッチ。


「いっくよー!!」
「いっけー!!」


ラグナ達から離れ、運転席の背に捕まったアーリアは楽しそうに声を上げた。

46.想いの在処


主砲での攻撃のかいあってか、バリアを貫通。アーリア達は、無事にルナティックパンドラ内に着陸し、ラグナロクから降りると、あたりを見回した。
機械的な建物、どうやら広間のようなところに入り込んだらしく、あたりは開けた空間だった。


「本当にきたもんよ」
「通行、断固阻止」

それ故、その二人の姿はすぐに見つけることができた。―――銀色の髪を持つ隻眼の女と、体格の良い大男。


「風神!雷神!」
スコールたちの良く知った二人だった。


「スコール、やめて」


ガンブレードをかまえたスコールの手を、アーリアの手が抑えた。
そして首を横に振る。目的は一緒だから戦う必要なんてないんだよ。
武器に手をかけないまま、彼女は二人の側へと歩み寄った。

そんなアーリアに気圧され、二人は武器を持ったまま一歩、また一歩と後退していく。


「先輩」
ふと、アーリアが笑った。

「私と、サイファーと、一緒に帰りましょう?」
「そんなことできないもんよ」


「風神先輩、雷神先輩

サイファーは操られてるだけってもう気づいてますよね?」


確信を持った響きに、驚いたのはスコール達だった。二人は何も考えず、友達だからという理由で付き従っているものだとばかり思っていたからだ。
彼等は、彼等なりにサイファーを心配しているのだろう。そうか、だから自分を止めたのかと、スコールは納得した。
また、同時によく見ているものだと関心する。


「どうしようもないもんよ・・・もう」
「戻無理、サイファー放無理」

二人は今にも泣きそうに、地面を向いていた。
風神と雷神の、武器を持つ手に、アーリアが触れた。



「まだ戻れますよ
大丈夫

だから、サイファーを助けに行きましょう」


あの時はできなかったけど、今度は助けることができるとそうアーリアは笑った。

カラン。

小さな音を立てて二人の手から武器が落ちた。そして、数秒間を開けて顔を上げた。
風神も雷神も、もう泣きそうではなくなっていた。


「行こ?」


スコール達に駆け戻って来た、アーリアは何でもない風にそういった。


(2017/05/05)