虹
ケフカが死んで、世界は色を取り戻した。
そして、私達はまだ、旅をしていた。
お互い帰る所も行く所も無い。気楽な旅だ。
今居るのはサウスフィガロのすぐ近く。
先日久々に顔見せろ、とセッツァーに連れてこられた。
ほっといてくれて良かったのだが。
三日ぶりに開放されまた二人と一匹で歩き出した。
何故三日もここに居たのかと言うと大雨が降ったから。
・・・まったく迷惑なものだ。
先程やんだのでさっさと出て来た。
余談だが、私はああゆう席は苦手だ。なんで、ああ集まりたがるんだか。
シャドウも苦手なのだろう。あまり楽しそうではなかった。
まあ、楽しそうにしていたら怖いか。
「・・・」
シャドウがふと立ち止まる。不思議に思い、私もシャドウの視線を追う。
そこには虹がかかっていた。
あの色あせた世界では決して見られなかったであろう七色の虹が。
---ねぇリズ知ってる?虹は・・・・
「なぁ、シャド」
「・・・なんだ」
―――虹はね、見た人を・・・
「知っているか?・・・」
―――虹はね、見た人を幸せにするのよ?
「・・虹は見た人を幸せにするそうだ・・・」
「そうか・・・」
「・・・なぁ」
「・・・・」
―――ねぇ、リズ。あなたは幸せ?
「シャド、お前は今幸せか?」
「・・・さてな」
息をはきながらシャドウは言った。
覆面に隠されたその顔が、少し笑っているように私には見えた。
私は、視線をおろすと歩き始め・・・・ようとした。
「・・・リズ>。お前は・・・幸せか?」
「・・・さてね」
私も少しだけ笑って答えた。
きっと二人でこの虹を見られることが幸せ。
(やっと世界が色づいたのだから)
(2011/09/19)
元拍手のおまけ。