影
―――世界は白黒でできている。
―――灰色の空に灰色の大地
そしてそれは私も例外ではなく・・・。
影から影を飛び回る。
”金色”などと呼ばれても、間違いなく私は”黒”であった。
・・・一年前まで。
「リズ」
シャドが私の名を呼ぶ。
どうやらこの街を出立するようだ。
この男もまた間違いなく”黒”の人間。
「・・・行くぞ」
不思議なことだ。
影に生きるもの同士、今は日向を歩いている。
「ああ」
私達はよく似ている。
よく似ているのに、シャドと会って世界が変わった。
赤の瞳が私を捉え、金の髪が風に靡く。
宿を出ると、青い空が私達を出迎えた。
(影と影が合わさって、世界は色付いた)
(2014/07/28)
元拍手のおまけ。