Eternal Oath

「なあ、なんでお前って盗賊やってんの?」
「ん?なんで?」

それは、リズにとってあまりにも不思議な問。

犯行予告


リズって物欲ないよなぁって思って」


けだるげにテーブルに肘をつきながらジタンはリズに言う。


「だって、私ここで育ったもの」
リズなら一人で生きていけるだろ?」


この男は自分をタンタラスから追い出したいのだろうか?
そんな問がリズの頭をかすめ、僅かに眉をしかめる。


「あ、悪い!別にリズに出てってほしいって事じゃないんだ
ただ、欲しいものってないのかなって思ってさ」


ジタンは取り繕うように、顔の前で手を振った。

その様子に、リズも幾分か表情を緩める。
そして、ゆっくりと口をひらいた。


「・・・欲しいものならあるよ」


ジタンが笑みを浮かべ体を乗り出す。
興味津津といったように。


「なんだ!?」


すっと、リズはジタンを指さした。

「この服?」
「いや
ジタン」

「なんだよ」
「いや、服じゃなくて。
ジタン、あなたが欲しい」


時間にしては、数秒だろう。
しかし、その数秒がジタンには長い時間に感じた。


「俺?」
「うん」

「いやー、光栄だな!」


リズの言葉を冗談とでもうけたのか、いつもの調子でジタンはいう。


「違う!
私が欲しいのは、ジタンの本気

ねぇ、本気で私を見て」


リズの手が、すっとジタンの頬を滑った。
普段みないリズの表情にドキドキしながら、その手をつかむ。

リズの視線はジタンから外れることはない。


リズ・・・」


冗談ではない事は痛いほど理解した。
だからと言って、すぐに受け入れられるものでもなく。
ジタンは顔が熱を帯びるのを感じていた。

リズの視線が、突然ジタンから外れる。
そして、ジタンにつかまれていた手を引いた。


「今日はこのくらいにしとく」


あっけらかんと、彼女はいいはなった。
ジタンはそれをぼうっと見つめる。


リズ・・・?」
「言っとくけど、本気だから

ジタン、絶対に奪ってみせる」


―――覚悟しといて?


ニッと普段ジタンが浮かべるような表情を彼にをむけて。
リズは踵を返した。


(2011/09/13)