「・・・誰?」
平子真子が現れた!
しかし平子は驚き戸惑っている。
それは偶然だった。
寝付けない平子が見つけた、月を見つめる少女。
闇に溶けそうで溶けない水色の髪は月の光を受けきらきらと光っていた。
―――目を奪われた。
「・・・誰?」
少女がこちらに気づいた。
そのことに僅かに平子はうろたえた。
気配は消していたつもりだったからだ。
どうやらこの少女相当の実力の持ち主らしい。
「・・・・平子真子」
平子真子?
少女は透き通った声で復唱した。
もしかして俺のことを知らんのか?と、平子は思う。
隊長に任命されて早数年。初めてのことだった。
「お前はなんて言うんや?」
「名前?」
「ああ」
少女が始めて平子の目を見た。
髪と同じ水色の瞳がやけに印象に残る。
警戒を色濃く映すその瞳。
「みずはら・・・水原 涼香」
水原 涼香。その名に覚えがあった。
あの一番隊で昇進を断り続けている女。嫉妬からか、”宝の持ち腐れ”なんて呼ぶ隊員も多く、平子にまでその名前が届いていた。
まさか、こんな少女だとは思っていなかったが。
「食べる?」
考え込む平子の前に差し出されたのは団子。
予想外のものに一瞬呆れ、笑顔があふれる。
「月見団子かええなぁ」
「・・・べつにぃ」
その言葉に一瞬涼香は遠い目をしたように、平子には見えた。
「涼香ちゃんは・・・いや、なんでもない」
「?」
平子は立ち上がる。
「今日はおおきにな
今度お礼に菓子でももってくるわ」
涼香は礼を言われたことに首を傾げ、菓子という言葉に頬を緩める。
初めて見る笑顔に改めて平子は目を奪われた。
ああ、囚われた。
「あかん・・・初恋や」
(2013/08/09)
(2023/12/02訂正)
平子真子が現れた!
しかし平子は驚き戸惑っている。
「ちょっとは楽しいかなぁ」
それは偶然だった。
寝付けない平子が見つけた、月を見つめる少女。
闇に溶けそうで溶けない水色の髪は月の光を受けきらきらと光っていた。
―――目を奪われた。
「・・・誰?」
少女がこちらに気づいた。
そのことに僅かに平子はうろたえた。
気配は消していたつもりだったからだ。
どうやらこの少女相当の実力の持ち主らしい。
「・・・・平子真子」
平子真子?
少女は透き通った声で復唱した。
もしかして俺のことを知らんのか?と、平子は思う。
隊長に任命されて早数年。初めてのことだった。
「お前はなんて言うんや?」
「名前?」
「ああ」
少女が始めて平子の目を見た。
髪と同じ水色の瞳がやけに印象に残る。
警戒を色濃く映すその瞳。
「みずはら・・・水原 涼香」
水原 涼香。その名に覚えがあった。
あの一番隊で昇進を断り続けている女。嫉妬からか、”宝の持ち腐れ”なんて呼ぶ隊員も多く、平子にまでその名前が届いていた。
まさか、こんな少女だとは思っていなかったが。
「食べる?」
考え込む平子の前に差し出されたのは団子。
予想外のものに一瞬呆れ、笑顔があふれる。
「月見団子かええなぁ」
「・・・べつにぃ」
その言葉に一瞬涼香は遠い目をしたように、平子には見えた。
「涼香ちゃんは・・・いや、なんでもない」
「?」
平子は立ち上がる。
「今日はおおきにな
今度お礼に菓子でももってくるわ」
涼香は礼を言われたことに首を傾げ、菓子という言葉に頬を緩める。
初めて見る笑顔に改めて平子は目を奪われた。
ああ、囚われた。
「あかん・・・初恋や」
(2013/08/09)
(2023/12/02訂正)