Eternal Oath

―――スパァァン!
目の前で、良い音を立てて襖が開いた。

「更木は居るか―――」


―――スパァァン!
同じ音を立てて、全力で私は襖を閉じました。
・・・だって怒ってるんだもん。
隊長今すごく機嫌悪いし、これ以上十一番隊に波風立たせたくないんですけどー?

「だって面倒だったんだもん」


「・・・おい、涼香
「はい
何ですか?隊長」

「何してるんだ」


全力で襖を閉めてますが、何か?筋力では拮抗してますからね、襖は空くことはありません。
隊長には早くハンコを押す作業に戻っていただきたい。
あ、舌打ちしたって駄目ですよ。
私にはそのハンコ押せないんですから。


あ、しまった。


更木隊長に気を取られた瞬間。襖が開きました。


「何をするのだネ、涼香
「いやぁ、つい」

せっかく隊長が隊長室に戻りかけてたのに、足を止める。
本当にタイミング悪いよ。
私は定時に帰りたいんです。
とりあえず隊長がハンコ押してくれないと帰れないんですよ。


「で、うちの隊長に何か用?」

私の言葉。これを皮切りにマユリちゃんは更木隊長に食って掛かる。
要約すると、どうやら目を付けてた虚を十一番隊が倒してしまったということらしい。
あれ程殺すなと言っただろうって言われても。

それを更木隊に求める方が間違ってると思うよ。



涼香涼香

ちょいちょいと、いっちゃんに呼ばれる。いっちゃんもちかちゃんも何でそんな端っこにいるの?
遠巻きに隊長達を見ながら小声でいっちゃんが言う。


「涅隊長が言ってる虚ってこの前俺たちが倒した奴じゃないか?」


あー・・・。あれか。
ちょっと変わった能力を持ってて、すこしばかり強かったから十一番隊に回ってきた虚だった。


定時で帰りたいので、ちょっくら行動したいと思います。



一触即発ってか今にも抜刀しそうな隊長達のそばを通り、自分の机をあさります。
あれ?確かこの辺に入れたハズなんだけど・・・。


・・・机の奥にありました。


あ゛?とこちらを睨む更木隊長は見なかったことにして、二人の間に入ります。
うへー、霊圧重いよー。

「とりあえず落ち着いてくださいよ
更木隊長、マ・・・涅隊長」

二人同時にこちらを睨むのはやめてほしい。
私だって邪魔したくはありません。業務が滞ってるんだよコンチクショウ。

「そもそもマ、涅隊長がおっしゃっている虚を倒したのも私ですし
・・・・・・涅隊長がおっしゃっている虚の一部でよろしければ採取してあります」

だからさー、この忙しいのに人ん家の隊舎で怒鳴り散らすのやめてくれません?
技術局印の瓶の中に、触手がうごめきます。


なんでそんなもの持ってるんだって隊長、涅がどうのこうのって指令の時いってたじゃないですか。
・・・だから、元々お土産にあげるつもりだったんですよ。こういうの好きだろうって思ったから。


「ふん、お前にしては気が利くじゃないかネ

・・・・それにしても、なんだネ?その口調は気持ち悪い」


え?今それについて言うの?それに気持ち悪いってひどくないですか。
昔隊長格と仲良くしててめんどくさいことになったから、こっそり仲良くしようって言ったじゃん。
マユリちゃんは隊長格ですよ。わかってますかー?・・・あ、ごめんなさい謝るからうんざりした目でみないでください。




「とにかく普通に喋りたまえヨ」
「えー」
涼香


名前を呼ぶマユリちゃんに、無言で睨むうちの隊長。なんだなんだと遠巻きに眺めるいっちゃんとちかちゃん。
関係ないって顔してますけど、君らの所為なのでもっとこっちに来るべきだと思うの。

あきらめて私は口を開きます。
「分かったよ、マユリちゃん」
「「「「マユリちゃん!!!???」」」」


絶叫が全隊舎に響き渡った。


こうなっちゃうの分かってたから人前で合わないようにしてたんだけど。
でも、あれかな。
十一番隊の四席だしもう何も言われないかな?

とりあえず仕事しましょうよー。
私は定時で帰りたい。
マユリちゃんは後で私にお菓子おごれ。


(2013/08/09)
(2023/12/02訂正)