君を彩る空色
空、海、そして―――。
寝転がれば、抜けるような青い空が眼前に広がった。限りのないそれを指の額縁で切り取って、平子は溜息を一つ、アホくさと独り言も忘れない。
きれいな水のような青い空。
今、とにかく彼は暇だった。尸魂界から追放された彼らにやるべきことなどなく、その上鍛錬に明け暮れるほど彼はまじめではなかった。かくして彼は屋根の上で意味もなく空を見上げる事となったのだ。
さてそろそろ降りるか、手をついて阪神を起こした瞬間、ヒヨ里が平子を呼ぶ声が響いた。
「真子ー!!コラー!どこにおんねん!!
あいつ皿洗いさぼりおって!」
あかん、これはあかん。今降りていったら殺される。
ぐうの音も出ない平子は、起こした半身をもう一度倒した。その際音を出さないように注意するのも忘れない。
美しい水色の空を横切るのは白い雲だけだが、今日はそれすらもなく。
「退屈や、―――涼香」
思い描くは、一点のくもりもない空の色。
(2020/05/02)
元拍手のおまけ。