Eternal Oath

「さあ、始めようか
護廷十三隊―――そして、不出来な破面もどき達」


そう破面を切り捨てた藍染が言い放った時から正直嫌な予感がしてたんです。

31.「始めようか」


囲う様に剣を構える私たちの真ん中で藍染が滔々と挑発の言葉を浮かべた。

「思いやりの深い言葉だ
平子隊長」

そのたびに、ひよ里は右手を震わせる。
理性より殺意が勝つのも時間の問題の様に思えた。

でも。だけれど。


「君たちの終焉など
逃れようのない過去の事実なんだから」


ヒヨちゃん以外の元隊長達もこの言葉にはピクリと反応した。
それを必死に真ちゃんが言葉で止める。

この言葉には、私もちょっとムカついた。
だって、百年前確かに私は真ちゃんもヒヨちゃんも大好きだった。
どこか大きな穴が開いてしまった私の心を覆ったのは、真ちゃん達だったから。
でも、飛び出すほど私は短絡的じゃない。


「百年前のあの夜に―――君たちはすでに死んでいるというのに」

「藍染!!!」


とうとう、おさえられずにヒヨちゃんが飛び出した。


その体を、市丸の刃が真っ二つに割った。


「ひよ里!!」
「ヒヨちゃん!!」


落ちていくヒヨちゃんの、上半分を真ちゃんを下半分を私が追う。
ヒヨちゃんの体を急いで拾う。


「ハッチ!!」
「真ちゃん!どいて!!」


まだ意識のあるヒヨちゃんから真ちゃんを無理やりはがす。

「信じるよ・・・」

そして、左手にはめられた指輪に霊力を込め放った。
途端、光を放ってそれは簡易の結界を張る。

よく見れば、ヒヨちゃんの出血が止まってる。
と、言うよりこれは・・・。
空間凍結、に似ていた、これ、合法ぎりぎりっていうかグレーゾーンじゃないんですかね・・・。


涼香・・・」



ぽかんと私を見上げる真ちゃんは、百年前とちっとも変っていなかった。


「ハッチすまんけど一護が帰ってくるまでひよ里ンこと頼むわ」
「ハイ」


真ちゃん達以外の人と長くいるのもいやなので私は、死神勢の所まで瞬歩で戻った。
というか・・・。


「マユリ、ちゃん」


―――マユリちゃんのおかげで、ヒヨちゃんが助かったよ



***



まず、真ちゃんと藍染が切り合いを始めた。
始めてみる真ちゃんの始解は上下左右を入れ替えるという、とても厄介なもので。

それでもやはり、藍染のほうが何枚も上手だった。
一太刀与えたかと思えば、真ちゃんも切られていて。
柄にもなく私は祈ってしまう。真ちゃんが死なないように、と。


―――パキィン


小さく音を立てて、空間が割れる。


「一護ちゃん!」


真ちゃんに集中する藍染の首を、一護ちゃんの剣が捉えた。


(2015/01/01)