「皆様にスズカを同行させたいのです」
彼女との旅は、雪国で出会った王女の言葉から始まった。
スズカなるものを部屋に呼びに行った兵が、どこにもいませんと泣きながら帰ってきたのは、それから三十分も経った後であった。
先を急ぎ、尚且つお人好しなイレブンは、断れよと言う相棒の視線に気づかずに自ら探すこととした。こちらも世話になった手前、彼女の願いは断りたくないと思いつつ、まずは城内からだと近くの兵士に声をかけた。
クレイモラン兵A・B
「スズカなら朝方城のエントランスで見かけたな
魔法でスケートリンク作ってじいさんに怒られてたぜ」
「でもよ、正直、仕事じゃなきゃ滑りたかった」
「俺も。あいつたまに、天才かと思う瞬間があるわ
―――悪い、悪い。スズカならその後じいさんに訓練でもしろって引きずっていかれたから、診療室行けば行方知ってるやついるんじゃないか?―――――いや、診療室でいいんだよ」
訓練所へつれていかれたと言うのに診療所へ向かえとは、疑問を抱きながらも今他に手がかりはなく、イレブンは診療所へ向かうこととする。
ベロニカは魔法でスケートリンクの方が気になるようで、ぐるんぐるんと頭を捻っていた。世界一美しいと言われたクレイモラン城でスケート、滑ってみたいな、そう思ったのはイレブンだけの秘密だ。
治療中のクレイモラン兵C
「ああ!!?スズカ!?
そうだよ、この怪我はスズカにやられたんだよ
ったく、じいさんがいるとスズカも加減しやしねぇ
―――じいさんは、クレイモラン軍の元元帥だよ。シャール様の命でスズカの面倒見てんだ。スズカもじいさんにゃ頭上がらねぇから。
・・・ま、今日も逃げられてたけどな
城下の宿屋のガキなら行方知ってるんじゃねぇか?」
今度は城下、あちこち飛び回っているらしいスズカに、カミュは呆れの色を顔に浮かべている。それでも、頷いた以上スズカと旅をしなければならないのだ。
イレブンはカミュの背をひと叩きした。
宿屋の息子
「スズカねぇちゃんなら城に戻ったよ!
スノーベビー捕まえたからシャール様に見せるんだって言ってた
いいなぁ、シャール様。俺もスノーベビーなでたかったなぁ」
訓練所のくだりといい、魔物をペット感覚で扱う所といい随分やんちゃな人物なようだ。 中々出会えないスズカ探しに、仲間たちは段々飽きてきている。
元元帥
「おお、イレブン殿探したおったぞ
わしはスズカの後見人じゃ
―――ああ、戻ってきておるぞ。スズカが随分迷惑をかけたの。
それにしても、お主のような人物と旅をするのなら安心じゃて。この国はスズカには狭すぎるようだからの。
―――――いいや。勘違いなさるな。スズカは必ず役に立つじゃろう。」
なんといっても戦闘の才ならば、この国一じゃからな。
才だけと言う言葉が気になったが、仲間たちも腕がたつと聞き、少しだけやる気をだしたようだ。それでも気の短いカミュやベロニカは、さっさと仲間にし出発しようと眉をつり上げている。
城をスケートリンクにして、魔物をペットにしようとする。世の中の楽しいをかき集めたおもちゃ箱のような人、今までの人生で会ったことのないタイプだとイレブンは思う。 瞳は青、同じ色の髪を方のしたまで伸ばしている、シャールから聞いた特徴を思い出して、カミュを女の子にした感じかなと想像して笑った。
「あ、君
ここにスズカって言う子がいるはずなんだけど」
きっと、その子はポニーテールで、短いズボンにシャツを着た動きやすい格好の女の子。
「?、スズカなら私ですけど」
え。たじろいだのはイレブンだけではない。
確かに青い瞳であるが、カミュのそれよりずっと淡いそれは氷か水晶のようだった。そしてなにより、ハーフアップに結い上げた瞳と同じ髪はおてんば娘と言うよりも、深窓の令嬢だとか、王族だってほうがよっぽど信じられるくらい静かな美しさを持っていた。
「あ、もしかして君がイレブン?」
綺麗な顔をくしゃっと崩して笑うから、反射的に目をそらした。
表情だけはさっき想像したものとおんなじだった。
「ちゃんと聞いてますよ!シャールちゃんがついていけって
よろしくお願いしまーす」
「・・・はい」
痛むように疼く胸が邪魔をして、そんな言葉しか返せなかった。
(2017/08/28)
彼女との旅は、雪国で出会った王女の言葉から始まった。
水と氷でできた城
スズカなるものを部屋に呼びに行った兵が、どこにもいませんと泣きながら帰ってきたのは、それから三十分も経った後であった。
先を急ぎ、尚且つお人好しなイレブンは、断れよと言う相棒の視線に気づかずに自ら探すこととした。こちらも世話になった手前、彼女の願いは断りたくないと思いつつ、まずは城内からだと近くの兵士に声をかけた。
クレイモラン兵A・B
「スズカなら朝方城のエントランスで見かけたな
魔法でスケートリンク作ってじいさんに怒られてたぜ」
「でもよ、正直、仕事じゃなきゃ滑りたかった」
「俺も。あいつたまに、天才かと思う瞬間があるわ
―――悪い、悪い。スズカならその後じいさんに訓練でもしろって引きずっていかれたから、診療室行けば行方知ってるやついるんじゃないか?―――――いや、診療室でいいんだよ」
訓練所へつれていかれたと言うのに診療所へ向かえとは、疑問を抱きながらも今他に手がかりはなく、イレブンは診療所へ向かうこととする。
ベロニカは魔法でスケートリンクの方が気になるようで、ぐるんぐるんと頭を捻っていた。世界一美しいと言われたクレイモラン城でスケート、滑ってみたいな、そう思ったのはイレブンだけの秘密だ。
治療中のクレイモラン兵C
「ああ!!?スズカ!?
そうだよ、この怪我はスズカにやられたんだよ
ったく、じいさんがいるとスズカも加減しやしねぇ
―――じいさんは、クレイモラン軍の元元帥だよ。シャール様の命でスズカの面倒見てんだ。スズカもじいさんにゃ頭上がらねぇから。
・・・ま、今日も逃げられてたけどな
城下の宿屋のガキなら行方知ってるんじゃねぇか?」
今度は城下、あちこち飛び回っているらしいスズカに、カミュは呆れの色を顔に浮かべている。それでも、頷いた以上スズカと旅をしなければならないのだ。
イレブンはカミュの背をひと叩きした。
宿屋の息子
「スズカねぇちゃんなら城に戻ったよ!
スノーベビー捕まえたからシャール様に見せるんだって言ってた
いいなぁ、シャール様。俺もスノーベビーなでたかったなぁ」
訓練所のくだりといい、魔物をペット感覚で扱う所といい随分やんちゃな人物なようだ。 中々出会えないスズカ探しに、仲間たちは段々飽きてきている。
元元帥
「おお、イレブン殿探したおったぞ
わしはスズカの後見人じゃ
―――ああ、戻ってきておるぞ。スズカが随分迷惑をかけたの。
それにしても、お主のような人物と旅をするのなら安心じゃて。この国はスズカには狭すぎるようだからの。
―――――いいや。勘違いなさるな。スズカは必ず役に立つじゃろう。」
なんといっても戦闘の才ならば、この国一じゃからな。
才だけと言う言葉が気になったが、仲間たちも腕がたつと聞き、少しだけやる気をだしたようだ。それでも気の短いカミュやベロニカは、さっさと仲間にし出発しようと眉をつり上げている。
城をスケートリンクにして、魔物をペットにしようとする。世の中の楽しいをかき集めたおもちゃ箱のような人、今までの人生で会ったことのないタイプだとイレブンは思う。 瞳は青、同じ色の髪を方のしたまで伸ばしている、シャールから聞いた特徴を思い出して、カミュを女の子にした感じかなと想像して笑った。
「あ、君
ここにスズカって言う子がいるはずなんだけど」
きっと、その子はポニーテールで、短いズボンにシャツを着た動きやすい格好の女の子。
「?、スズカなら私ですけど」
え。たじろいだのはイレブンだけではない。
確かに青い瞳であるが、カミュのそれよりずっと淡いそれは氷か水晶のようだった。そしてなにより、ハーフアップに結い上げた瞳と同じ髪はおてんば娘と言うよりも、深窓の令嬢だとか、王族だってほうがよっぽど信じられるくらい静かな美しさを持っていた。
「あ、もしかして君がイレブン?」
綺麗な顔をくしゃっと崩して笑うから、反射的に目をそらした。
表情だけはさっき想像したものとおんなじだった。
「ちゃんと聞いてますよ!シャールちゃんがついていけって
よろしくお願いしまーす」
「・・・はい」
痛むように疼く胸が邪魔をして、そんな言葉しか返せなかった。
(2017/08/28)