最近目につく人がいる。
火影が滅んで数カ月。
最近柳さんと良く話している女性がいる。
今日もそうだった。
「あっ!水鏡センパイ」
「柳さん」
柳さんがこちらに気付いた。
隣にいる女性もこちらにお辞儀をする。
僕もそれにこたえる為軽く頭を下げた。
見たことがない顔だが、うちの高校の制服を着ている。
柳さんより随分年上に見えるが、三年生であろうか?
「そちらの女性は?」
「え?」
柳さんが首をかしげる。
僕はこの女性に会ったことがあるのだろうか?
いくら頭を捻れども、記憶は出てこない。
「あの水鏡君・・」
女性が苦笑いで口を開く。
やっぱり知っているひとなのだろうか?
「水鏡君と同じクラスの榎本 咲です」
「・・・すまない」
そうか、同じクラスの。
「いいよ。私目立たないし」
そうやって、ふわりと笑う。
柳さんと似てるけれど、違う笑み。
すべてを癒すようなそんな。
「水鏡君?」
「・・・っ」
彼女―榎本さん―の声で現実に戻る。
「いや、ところで柳さんとはどんな関係なんだ?」
「私が・・・」
柳さんが僕の問に答える。
どうやら、榎本さんは美術部のようで、スケッチしている彼女に柳さんのほうから話しかけたようだ。
よほど、気があうのだろう。
随分仲の良いように見えた。
「そうなんですか」
「ええ」
「改めてよろしくね。水鏡君」
「ああ」
もう一度彼女は僕に向かって頭を下げた。
「これから二人で映画見に行くんです」
「じゃあ、またね」
「はい」
そして、そのまま二人で駅のほうへ向かって歩きだした。
とても優しい笑顔を浮かべる女性。
それが、僕の榎本 咲に対する印象だった。
(2011/07/28)
00.出会い
火影が滅んで数カ月。
最近柳さんと良く話している女性がいる。
今日もそうだった。
「あっ!水鏡センパイ」
「柳さん」
柳さんがこちらに気付いた。
隣にいる女性もこちらにお辞儀をする。
僕もそれにこたえる為軽く頭を下げた。
見たことがない顔だが、うちの高校の制服を着ている。
柳さんより随分年上に見えるが、三年生であろうか?
「そちらの女性は?」
「え?」
柳さんが首をかしげる。
僕はこの女性に会ったことがあるのだろうか?
いくら頭を捻れども、記憶は出てこない。
「あの水鏡君・・」
女性が苦笑いで口を開く。
やっぱり知っているひとなのだろうか?
「水鏡君と同じクラスの榎本 咲です」
「・・・すまない」
そうか、同じクラスの。
「いいよ。私目立たないし」
そうやって、ふわりと笑う。
柳さんと似てるけれど、違う笑み。
すべてを癒すようなそんな。
「水鏡君?」
「・・・っ」
彼女―榎本さん―の声で現実に戻る。
「いや、ところで柳さんとはどんな関係なんだ?」
「私が・・・」
柳さんが僕の問に答える。
どうやら、榎本さんは美術部のようで、スケッチしている彼女に柳さんのほうから話しかけたようだ。
よほど、気があうのだろう。
随分仲の良いように見えた。
「そうなんですか」
「ええ」
「改めてよろしくね。水鏡君」
「ああ」
もう一度彼女は僕に向かって頭を下げた。
「これから二人で映画見に行くんです」
「じゃあ、またね」
「はい」
そして、そのまま二人で駅のほうへ向かって歩きだした。
とても優しい笑顔を浮かべる女性。
それが、僕の榎本 咲に対する印象だった。
(2011/07/28)