Eternal Oath

少しずつ広がっていく。
この暖かい気持ちをどう表現したらいいのかな。

01.変わりゆく”普通”


水鏡君と知り合って(?)から数週間。
会話する機会が増えてきた。


「おはよう」
「っ、おはよう水鏡君」


今では向こうからあいさつしてくれる。

・・・ちょっとだけ嬉しいかな。


ここだけの話、私は水鏡君が少し怖かった。
笑わないし、人とかかわることを避けていたようだから。

実際話してみればそんなことはなく。
とてもいい人なんだと思う。


「何読んでるの?」

珍しく水鏡君が本を読んでる。

「シェークスピア」

のぞき込むと、それは英語で書かれていてやっぱり水鏡君は頭がいいんだなぁと感心してしまう。
私も読んだことあるけど、もちろん日本語で書いてあるものだ。

榎本さんは?」

水鏡君が本から視線を上げ、こちらをみる。
私が手に持つ本を見て言っているのだと思う。

「これ?」

「ああ」
「画集なの。ちょっと最近の画家さんなんだけど、とっても柔らかい線を描くんだ」

見てもいいか、と水鏡君が本を手に取る。
そしてパラパラと目を通す。

私は、何故だか恥ずかしいようなそんな感じでそれを見つめた。




「・・・きれいな絵だな」

「でしょ!すっごく好きなの!!」

水鏡君が共感してくれてすごくうれしくて、思わず声が大きくなる。
本当にすごくすごく好きだから。

ふと、水鏡君をみると少し驚いたような表情。

「どうしたの?」
「いや・・・本当に好きなんだな」

水鏡君が笑いながら言う。

「うん」


「よければ僕に貸してくれないか?」
「いいよ」

ほほ笑んだまま水鏡君が言う。



そこで、チャイムがなって私はあわてて席に戻る。

最近こうゆうことが多い。


でも、それがすごく楽しい。
だって、水鏡君と仲良くなっていくのがわかるから。


(2011/07/28)