「水鏡先輩」
「柳さん?」
僕は迷ったけれど美術部を訪れる事にした。
咲さんはいない。
「先輩こっちです!」
他の作品には目もくれず、柳さんは僕の手を引いた。
最も僕も咲さん以外の作品には興味ないので、柳さんが案内してくれるなら助かる。
「これです」
「・・・っ」
そこには、”僕”が居た。
「・・・咲、さんは」
「咲先輩は屋上に行くって言ってました」
”仲直りしてください!”
彼女にも心配をかけていたようだ。
喧嘩していた訳ではないが、気持ちはありがたく受け取って。
人を掻き分け、屋上へ向かう。
―――ギィ
やけに大きな音を立て、屋上の扉が開かれた。
「咲さん・・・」
「凍、季也、くん?」
咲さんが、こちらを振り向く。
名前を呼ばれただけで嬉しいなんて、そんな事思う日が来るとは思わなかった。
「ごめんなさい!」
勢いよく頭をさげて、咲さんが謝ってきた。
「(良かった。
嫌われていたのではないのか)
どうして・・・」
「あのね、最初は良く分らなかったの
忍者とか、まどうぐ?とか・・・」
確かに俄かには信じにくい話だとは思う。
「それで、柳ちゃんの為に凍季也君が戦ったって分って・・・
なんだろう・・・何だろうね」
そこで、咲さんは困った様に言葉を詰まらせた。
「凍季也くんは、柳ちゃんのこと・・・ううん」
「(もしかして)」
僕は己惚れてもいいのだろうか。
(2014/07/31)
「柳さん?」
僕は迷ったけれど美術部を訪れる事にした。
咲さんはいない。
11.ごめんね
「先輩こっちです!」
他の作品には目もくれず、柳さんは僕の手を引いた。
最も僕も咲さん以外の作品には興味ないので、柳さんが案内してくれるなら助かる。
「これです」
「・・・っ」
そこには、”僕”が居た。
「・・・咲、さんは」
「咲先輩は屋上に行くって言ってました」
”仲直りしてください!”
彼女にも心配をかけていたようだ。
喧嘩していた訳ではないが、気持ちはありがたく受け取って。
人を掻き分け、屋上へ向かう。
―――ギィ
やけに大きな音を立て、屋上の扉が開かれた。
「咲さん・・・」
「凍、季也、くん?」
咲さんが、こちらを振り向く。
名前を呼ばれただけで嬉しいなんて、そんな事思う日が来るとは思わなかった。
「ごめんなさい!」
勢いよく頭をさげて、咲さんが謝ってきた。
「(良かった。
嫌われていたのではないのか)
どうして・・・」
「あのね、最初は良く分らなかったの
忍者とか、まどうぐ?とか・・・」
確かに俄かには信じにくい話だとは思う。
「それで、柳ちゃんの為に凍季也君が戦ったって分って・・・
なんだろう・・・何だろうね」
そこで、咲さんは困った様に言葉を詰まらせた。
「凍季也くんは、柳ちゃんのこと・・・ううん」
「(もしかして)」
僕は己惚れてもいいのだろうか。
(2014/07/31)