Eternal Oath

僕が初めて、友達になった”普通の”女の子。

親愛なるあなたへ。友人より。


「こんにちはー」

涼やかな声。
見たことのない制服は烈火君や柳ちゃんの通う学校とは違うもので。

本当に”普通の”女子高生だった。


「あれ?

あなたは?」

「僕は・・・「瑞樹じゃねぇか!」」


名乗ろうとした僕を遮り、土門君が声を上げる。


「久しぶり、土門君」


にこりと笑って、土門君に彼女は手を振る。
土門君と彼女は似合わないけれど、どうゆう関係なんだろう。


「ところで土門君、彼女は?
新しいアルバイト?」


彼女、彼女か。


「僕は男ですよ。
新しくアルバイトに入りました葵です。

よろしく」
「ごっごめんなさい
えっと・・・土門君の幼馴染の佐倉 瑞樹です」


自然に出された右手。
僕がそっと握ると、彼女からはふわりと花の匂いがした。



・・・幼馴染か。


「あの・・・本当にごめんなさい」
「ふふっ、いいよ」


必死に謝る彼女が面白くて、ついつい笑ってしまう。


「で、なにしにきたんだ?
瑞樹
「別にー、なんとなく。

高校入ってから来てなかったし」


本当に、幼馴染なんだな。

土門君におびえることなく、あっけらかんと答える瑞樹ちゃんに関心してしまう。
だって彼女くらいの女の子は土門君みたいな人を怖がるんじゃないかと思うから。


「帰れ帰れ!
営業妨害だ」

しっしと、追い払うしぐさをする土門君。


「ひどいなっ!もうっ!!ねぇ、葵君」
「ああ、うん。

そうだね」

にこにこと、人懐っこく瑞樹ちゃんは僕に話をふる。

「でしょ。土門君ったらいつもそうなんだから」

瑞樹ちゃん」
「ん?」
「本当に何も買わないの?」

何度か目を瞬かせ、彼女は店の端へと移動する。


「葵君、葵君」

ちょいちょい、と彼女が手招きする。

『これ頂戴』と、抱えられたのはたくさんのスズラン。
お金をもらい、彼女に商品を渡す。



「はい」

彼女が、そのままスズランを僕に渡す。


「これからよろしくね、葵君」
「・・・うん」


「これから葵君に幸福が訪れますように」


瑞樹ちゃんはそれだけいうと、土門君の所へ戻って行った。


その後、彼女は頻繁にここに訪れるようになった。

僕にできた初めての、”普通の”お友達。


来年僕も彼女に送ろう。
―幸福の訪れる―この花を。


(2011/08/08)