Eternal Oath

本当に欲しいものなんかないんだよ。

そう、リィオが言った。

靴下のなか


いよいよ明日はクリスマスと言うことでレスターヴァも気持ち浮き足立った日のことだ。
もちろんリィオもいい歳であるから、アランはプレゼントなんて考えてもいなかった。

「ね、リィオは何か欲しいものとかないの?」

その考えが変わったのはスノウとリィオの会話であった。

「ああ、ARMの本とかカルデアの秘密!みたいな研究書とかあれば欲しいかな」
「そう言うのじゃなくて、ネックレスとか指輪とか」「ARM?」

「そうじゃなくて!」―――左右の頬を膨らませスノウが怒る。彼女が聞きたいのは、クリスマスの夜二人で食事をして指輪やネックレスのプレゼント交換をする様な、所謂恋人同士のクリスマスにおける希望。
少女らしい興味だと微笑ましくアランはそれを聞いていた。


「でもないんだ。

本当に、欲しいものなんかないんだよ」


プレゼントなんて渡す気などなかった。しかし、その言葉を聞いてアランの気が変わる。

欲しくないなんて何も期待していない言葉を聴きたくない。


「分かった」


それまで聞いているだけであったアランが言う。
驚いてアランをみたスノウと、少しだけ口を開いたリィオ

「何がだ?」

少し間を開けてリィオが聞いた。
アランはそっとリィオに近づいて、彼女の耳へと唇を寄せた。きゃっと楽しそうにスノウが口に両手を当て目を輝かせる。


「明日何かやる」


それは甘さも何もないけれど、
「期待してるよ」
リィオがアランの耳へささやき返すのに十分なものであった。


「なに!何言ったの!?」とスノウが立ち上がる。

「・・・」「秘密だそうだ」

黙って葉巻を吸い始めたアランの代わりにリィオが微笑んで人差し指を唇へと当てた。


(2017/04/17)