Eternal Oath



大嘘つき


「自分には、剣の才能がないことを知っているし、―――それは、もうとっくの昔に諦めたんだ」


歩に合わせて剣と鞘が音を立てる、兵士の奴ら整備の手を抜いてやがるな、金属音に舌打ちが混ざった。その手はしっかり剣を握ったまま、森深くへと足を進めたのは、ARMではなく剣の練習をしているそんな必死な姿を誰にも見せたくないからだ。
深い森の中泉のほとりにある開けた地、前回のウォーゲームが始まる前からアランの秘密の場所だ。誰も知らないはずの場所。しかし、今日は先客が居た。

リィオ

剣を降る女は、今回のウォーゲームから自分の味方として戦っている人物だ。剣もそこそこ強いが、彼女の得意分野は魔法であり、本人も剣より魔法の方が強いと豪語しているくらいだった。
剣は諦めたとそう語った唇は真一文字を描いたまま、先ほどまでARMの本をめくっていた手は色がなくなる程強く柄を握っていた。辺りを包み込む静寂、動物すらも彼女を避けて通り、アランも無意識に剣の柄を抑え気配を消した。

何度ふるってもぶれる事のない剣先が、決して乱れる事のない息が、これが別段特別な行動ではないのだと物語る。100、200と数えているアランの方が疲れてしまいそうだ。
音を殺してアランは踵を返す、きっと彼女の訓練はまだ終わることは無いのだろう。そして、自分がそうであるように、彼女もまたこの姿を他人に見せることを良しとしないだろう。


「何が”あきらめた”だ」


この大嘘つきめ。


(2020/05/02)
元拍手のおまけ。