「っち」
いつもの様に傭兵として参加した戦。リィオの所属する軍は圧倒的優位にたっていた。
昨日までは。
日が沈んだ頃から戦況は変化をはじめ、空が明るくなる頃には戦況は反転していた。それはすべて、目の前の魔族のせいだ。
「くくっ」
「っ!」
魔族の攻撃を避けた瞬間、閃光が走り、気づけば、空の上。体には浮遊感。
近づく地面にリィオは急いで魔法を唱えた。
「・・・浮遊!」
風の結界を纏いふわりと地面の数メートル上で浮く。
そのまま魔法を操りゆっくりと地面に降り立った。
長いマントがふわりとゆれる。
リィオは、ゆっくりとあたりを見回した。
「・・・ここは?」
あたりには見た事のない木や花。
リィオは眉をしかめ、召喚魔法を唱える。
「―――」
予想に反して何も起こらず、鳩が一匹空のかなたへと飛んでいった。どうやら、魔族の創った空間ではなさそうだ。
誰かに創られた空間ならば今ので元に戻れないにしても、多少はゆらぐなりゆがむなりするはずだ。
思案し、思いついたのは一つの可能性。それは到底ありえない事。
「まぁ、いっか」
首を振って、投げやりな言葉とともにくるりとマントを翻し、近くの道を歩きだす。ここにいても何の解決にもならないと言う考えからだ。
道があるならば、人がいるということだ。それを信じてリィオは歩く。
それから数十分。
「やあやあ、そこのお方」
「はい?・・・・!?」
辺りを見回すが、人の姿はない。ここだと主張する声は、どう聞いても目の前の人面石から聞こえる。余りの驚きに動きが止まった。
―――間違いなく声をかけてきたのは、石だった。
「(ゴーレム・・・?いや、ここでは普通なのか・・・?
何にせよ余計なことは言わないほうがいいな)」
「すみませんが、我々の願いをきいてはくれませんか」
「急いで・・・いや、構わないがいくつか教えてくれないか?
ここはどこだか分るか?
迷ってしまったんだ」
「ここはパヅリカの中部です
この道をまっすぐ北へ向かえば町があるはずです」「ですー」
石曰く、ここパヅリカと言う国らしい。聞いたことのない地名に、やはりとリィオは思う。
―――ここは、異世界だ。
「ふぅん(ここはパヅリカか・・・聞いたことないな)
分ったありがとう
で、お願いって?」
「悪名高い魔女ドロシーに、親切にしてくださったぼっちゃんが連れて行かれてしまったのです
どうか彼を助けてあげてほしい
ARMを持つことも動くこともできない我々ではどうしようもないのです」
「ARM・・・?」
聞きなれない言葉に、思わず聞き返す。武器かなにかの名前のようだ。そんなリィオに、石はARMとは魔法のようなものを使えるようになるアクセサリーのことだと教えてくれた。この世界では魔法は一般的ではないらしく、騎士や盗賊など戦闘を必要とする職種の者はARMを使っているらしい。
「・・・ありがとう
で、ドロシーについてった少年のこと詳しく教えて」
情報料として、そのお願い聞くよ。そうリィオは言った。
(2016/03/07)
いつもの様に傭兵として参加した戦。リィオの所属する軍は圧倒的優位にたっていた。
昨日までは。
日が沈んだ頃から戦況は変化をはじめ、空が明るくなる頃には戦況は反転していた。それはすべて、目の前の魔族のせいだ。
「くくっ」
「っ!」
魔族の攻撃を避けた瞬間、閃光が走り、気づけば、空の上。体には浮遊感。
近づく地面にリィオは急いで魔法を唱えた。
00.魔法使いの光臨
「・・・浮遊!」
風の結界を纏いふわりと地面の数メートル上で浮く。
そのまま魔法を操りゆっくりと地面に降り立った。
長いマントがふわりとゆれる。
リィオは、ゆっくりとあたりを見回した。
「・・・ここは?」
あたりには見た事のない木や花。
リィオは眉をしかめ、召喚魔法を唱える。
「
予想に反して何も起こらず、鳩が一匹空のかなたへと飛んでいった。どうやら、魔族の創った空間ではなさそうだ。
誰かに創られた空間ならば今ので元に戻れないにしても、多少はゆらぐなりゆがむなりするはずだ。
思案し、思いついたのは一つの可能性。それは到底ありえない事。
「まぁ、いっか」
首を振って、投げやりな言葉とともにくるりとマントを翻し、近くの道を歩きだす。ここにいても何の解決にもならないと言う考えからだ。
道があるならば、人がいるということだ。それを信じてリィオは歩く。
それから数十分。
「やあやあ、そこのお方」
「はい?・・・・!?」
辺りを見回すが、人の姿はない。ここだと主張する声は、どう聞いても目の前の人面石から聞こえる。余りの驚きに動きが止まった。
―――間違いなく声をかけてきたのは、石だった。
「(ゴーレム・・・?いや、ここでは普通なのか・・・?
何にせよ余計なことは言わないほうがいいな)」
「すみませんが、我々の願いをきいてはくれませんか」
「急いで・・・いや、構わないがいくつか教えてくれないか?
ここはどこだか分るか?
迷ってしまったんだ」
「ここはパヅリカの中部です
この道をまっすぐ北へ向かえば町があるはずです」「ですー」
石曰く、ここパヅリカと言う国らしい。聞いたことのない地名に、やはりとリィオは思う。
―――ここは、異世界だ。
「ふぅん(ここはパヅリカか・・・聞いたことないな)
分ったありがとう
で、お願いって?」
「悪名高い魔女ドロシーに、親切にしてくださったぼっちゃんが連れて行かれてしまったのです
どうか彼を助けてあげてほしい
ARMを持つことも動くこともできない我々ではどうしようもないのです」
「ARM・・・?」
聞きなれない言葉に、思わず聞き返す。武器かなにかの名前のようだ。そんなリィオに、石はARMとは魔法のようなものを使えるようになるアクセサリーのことだと教えてくれた。この世界では魔法は一般的ではないらしく、騎士や盗賊など戦闘を必要とする職種の者はARMを使っているらしい。
「・・・ありがとう
で、ドロシーについてった少年のこと詳しく教えて」
情報料として、そのお願い聞くよ。そうリィオは言った。
(2016/03/07)