「なぁ!リィオはこれからどうするんだ!」
「あー、家来は無理だけど少しついて行ってもいいか」
リィオはバッボを流し見る。こちらの人間から見ても珍しいARMに興味があった。この重ささえなければ連れていきたいと思う程度にだ。
また、彼の言っていた異世界から来たと言う言葉が気になる。
「こっちでいいのか!?」
「ああ、この道が町に繋がっていると言っていた」
リィオは革製のグローブをはめた手で指さした。道は遠く続いているものの町影はない。
それでもその道を三人で歩き始めた。何も知らない三人に、それ以外に道はなかった。
「一つ、聞いてもいいか
ギンタは異世界から来たと言っていたがそれはいつだ?」
「今朝の・・・十一時ぐらいかな」
「ふぅん」
「それがどうしたんだ?」
「(やっぱり、か)
いや、異世界なんて信じられないと思ってな
どんな世界から来たんだ?」
ギンタの質問を適当に流しながら、リィオは考え込む。
リィオがこの世界に来てしまったのは、おそらくギンタが関わっている。あの時はちょうど魔族が精神世界の攻撃を仕掛けていた。もしかしたら召喚魔法か、移転魔法の類だったのかもしれない。
ギンタの世界とこの世界への通路が魔族の攻撃に反応したのだろう。
そう結論付けて、リィオは苦い顔をする。
「リィオはなんでフードかぶってるんだ?」
「顔を見られるのがそんなに好きじゃなくてな」
「む、お主見られてはまずいことでもあるのか!?」
「そうなのか!?」
「いや?顔見られてごちゃごちゃ言われるのが嫌なだけだ」
聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと、バッボとギンタは口ごもった。彼らがそれぞれ痣や傷跡など”ごちゃごちゃ言われる理由”を思い浮かべる。
それをカラカラと彼は笑い飛ばした。んな理由じゃないよ。
「ギンタは、元の世界では何をしたんだ?」
「あ、ああ
俺は中学生だ」
「ちゅうがくせい?バッボ知ってるか?」
「いや、知らん」
「中学校って言う学校に通って―――」
おとぎ話か何かのようなギンタの話を聞きながら、ひたすら道を歩く。
――歩く。
――――歩く。
「つかないな」
「本当に町あるのか?」
「んー、あるって聞いたんだが「あー!!」」
会話の途中で、ギンタが大声をあげた。同時に指した指の先には、一件の家。誰かいるのかと目をこらすが、人影はない。
まさかこれのことを町って言ったんじゃないだろうな。
歩き疲れたリィオは少しばかり疑心暗鬼だ。
「出かけてるのか?」
「空き屋なのではないか?
おお!野菜が生えているぞ」
「いや、どう見ても畑だろ」
「扉叩いてみたけど誰もいなかったぜ!?」
家の様子を見に行き、ギンタが言う。リィオはどうするべきか思案するように顎に手を当てた。
―――ガリッ
「ギンタっ!!?バッボ!?」
振り向けば二人は野菜を口にしていた。よほど腹が減っていたのだろう。
ガチャガチャと音がし始めた家の方を見つめながら、リィオはポンとギンタの頭を叩いた。
「いい加減にするっす!」
「申し訳ない!」
出てきた少年は、リィオが思いっきり頭を下げると面を喰らった様に目を見開いた。
(2016/05/05)
「あー、家来は無理だけど少しついて行ってもいいか」
リィオはバッボを流し見る。こちらの人間から見ても珍しいARMに興味があった。この重ささえなければ連れていきたいと思う程度にだ。
また、彼の言っていた異世界から来たと言う言葉が気になる。
02.魔法使いの謀
「こっちでいいのか!?」
「ああ、この道が町に繋がっていると言っていた」
リィオは革製のグローブをはめた手で指さした。道は遠く続いているものの町影はない。
それでもその道を三人で歩き始めた。何も知らない三人に、それ以外に道はなかった。
「一つ、聞いてもいいか
ギンタは異世界から来たと言っていたがそれはいつだ?」
「今朝の・・・十一時ぐらいかな」
「ふぅん」
「それがどうしたんだ?」
「(やっぱり、か)
いや、異世界なんて信じられないと思ってな
どんな世界から来たんだ?」
ギンタの質問を適当に流しながら、リィオは考え込む。
リィオがこの世界に来てしまったのは、おそらくギンタが関わっている。あの時はちょうど魔族が精神世界の攻撃を仕掛けていた。もしかしたら召喚魔法か、移転魔法の類だったのかもしれない。
ギンタの世界とこの世界への通路が魔族の攻撃に反応したのだろう。
そう結論付けて、リィオは苦い顔をする。
「リィオはなんでフードかぶってるんだ?」
「顔を見られるのがそんなに好きじゃなくてな」
「む、お主見られてはまずいことでもあるのか!?」
「そうなのか!?」
「いや?顔見られてごちゃごちゃ言われるのが嫌なだけだ」
聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと、バッボとギンタは口ごもった。彼らがそれぞれ痣や傷跡など”ごちゃごちゃ言われる理由”を思い浮かべる。
それをカラカラと彼は笑い飛ばした。んな理由じゃないよ。
「ギンタは、元の世界では何をしたんだ?」
「あ、ああ
俺は中学生だ」
「ちゅうがくせい?バッボ知ってるか?」
「いや、知らん」
「中学校って言う学校に通って―――」
おとぎ話か何かのようなギンタの話を聞きながら、ひたすら道を歩く。
――歩く。
――――歩く。
「つかないな」
「本当に町あるのか?」
「んー、あるって聞いたんだが「あー!!」」
会話の途中で、ギンタが大声をあげた。同時に指した指の先には、一件の家。誰かいるのかと目をこらすが、人影はない。
まさかこれのことを町って言ったんじゃないだろうな。
歩き疲れたリィオは少しばかり疑心暗鬼だ。
「出かけてるのか?」
「空き屋なのではないか?
おお!野菜が生えているぞ」
「いや、どう見ても畑だろ」
「扉叩いてみたけど誰もいなかったぜ!?」
家の様子を見に行き、ギンタが言う。リィオはどうするべきか思案するように顎に手を当てた。
―――ガリッ
「ギンタっ!!?バッボ!?」
振り向けば二人は野菜を口にしていた。よほど腹が減っていたのだろう。
ガチャガチャと音がし始めた家の方を見つめながら、リィオはポンとギンタの頭を叩いた。
「いい加減にするっす!」
「申し訳ない!」
出てきた少年は、リィオが思いっきり頭を下げると面を喰らった様に目を見開いた。
(2016/05/05)