Eternal Oath

ギンタに新しい服。そして―――

「それと、ジャックももっておいき!」
「え?」

―――ジャックを新たな仲間にギンタとリィオは町を目指して歩き始めた。

04.魔法使いの尋問


そして数日後。リィオたちにとっては初めての町であるパヅタウンへたどり着いた。町自体はけっして大きくはないが露天商が多く旅人もそこそこいるようで。情報収集にはもってこいだとリィオは思う。
しかし、にぎわっている反面治安はそんなに良くはなさそうだ。


「これからどうするんだ?」
「俺はディメンションARMって言うのを探す!」
「おいらも手伝うっす!」

どうやら、先日庭で話していたのはギンタの帰り方らしい。そのディメンションARMと言うのが原因でギンタはこちらへ来てしまったようだ。
話は分からないがそうかと頷いておく。


リィオこそこれからどうするんだ?」
「そのディメンションARMには興味があるから着いていってもいいか?」
「もちろん!」


嬉しそうな笑顔でギンタが答える。町に着いたらリィオとはお別れだと思っていた分だけ嬉しかった。
かくして、三人はARMの専門店へと足を運ぶこととなった。一件目ははっきりいって失敗。毒にも薬にもならないようなセールストークを聞かされて終わった。

そして、二件目。檻の奥、ずらりと並べられたディメンションARM。
どうやらディメンションARMと言うものは高級らしい。

「ギンタあるか?」

リィオの問いに、静かにギンタは首を振った。そして、自身の見たARMの特長を口にする。

「俺の見たやつは
目が十字で、舌を出してるやつだった「―――門番ピエロ」」

かぶせる様に、そのARMの名を店主の女が呟いた。その声色からよっぽど驚いたのであろうことが分る。
これはめんどくさいことになったかもしれない。そうリィオはフードの下眉間にしわを寄せる。ギンタがそのARMを見つけさえすれば元の世界へと戻れると思っていたのに。


「ディメンション中最上級クラスのARMのはずよ
売り物として出されるアクセサリーじゃないって!

持っていると言えばどこかの王様
魔女
それを彫金してる創り主くらいね」


どうやらリィオが元の世界に戻るのも簡単にはいかないようだ。


「ラッキー!」
「へ?」
「こんなすぐに見つかったらあっけねぇ!!
楽して手に入る幸せなんて小さいよ!」


あからさまに落胆するジャックと、溜息をつきそうなリィオ。そんな二人とは真逆の感情をギンタは口に出した。
どこまでも前向きな言葉に毒気を抜かれ、ふっと一つ笑いを零した。そして、ぽんとギンタの頭を撫ぜた。

「自分は、お前の事がそういうところ好きだ」
「な」


ギンタからリィオの表情は見えないが、きっと穏やかに笑っているのだろう。
ストレートな言葉にギンタは頬を種に染める。


「とりあえず、二手に分かれてもう少し情報集めよう
ギンタ、ジャック、バッボ
一時間後にここで集合でいいか?」
「あ、あぁ」

呆けたまま、ギンタが頷く。ジャックが一人で大丈夫っすか?と聞いてきたが、旅慣れていないギンタにこの町に詳しいジャックが着くべきだと納得させた。
実際のところは、いい子ちゃんの三人が一緒では時間がいくらあっても足りないと思ったからの行動だった。

そして、一人になったリィオはこの町の裏道を進んで行く。蛇の道は蛇とでも言うべきか、知らない街であろうが世界が変わろうが裏の世界はどこだって同じようなものだと思う。
フードの中に薄暗い光をともし、リィオは周りを伺いながらある人物を探した。

ああ、いた。

「お前がここのボスだな」

突きつけられたARMの剣。当然現れた謎のフードの人物に大柄な男は濁った目でにやりと笑った。


(2016/05/05)