―――ドゴォ!
大きい音に敵と切り合ったままのリィオは思わず視線をそちらに向けた。その隙を縫う様に剣劇から飛ばされた水が浅くリィオの手を傷つける。
ギンタの無事を見届けると再びリィオはビショップ兵に意識を向けた。
「ギンタ!」
―――ボンッ
「!?」
音と共に光を発し、エドワードが煙に包まれた。
「おやすみ―――そんで、おはようだ」
煙が晴れ現れたのは、エドワードとは似ても似つかぬ人間の男。長い黒髪を後ろで縛った大柄な男は、ギンタを一撫ですると労いの言葉を掛ける。
「――ギンタって言ったな
犬の方から見てたぜ」
男はギンタに説明を始めた。変身した理由が気になるのでリィオも男の言葉に聞き耳を立てる。
元々別の人間と犬であった二人は、今は合体しておりエドワードが三回ねると男が、男が一回寝るとエドワードが出てくるらしい。呪いの一種かと、リィオは考えた。
リィオを尻目に、男はギンタに火のARMを渡す、男の考えを悟りビショップ兵は攻撃の手をギンタに向けた。しかし、それを許す甘さはリィオには無い。
「させねぇよ!」
剣から飛ばされた水の槍をリィオは剣で防ぐ。
「それは、こっちのセリフだ」
ビショップ兵がギンタに意識を向けた隙、今度はリィオがビショップ兵を凪ぐ。派手に血液をちらし、ビショップ兵は膝をついた。
「ギンタ!」
そんなビショップ兵から視線を外すと、すぐさまリィオは振り向いた。
見たのはお姫様が助けられた瞬間。
氷が解け開放されたお姫様とギンタの唇が触れ合った。そのままショックで倒れたのはお姫様の方ではなくギンタの方で、思わずリィオは彼の側に駆け寄った。
ぺちぺち軽く頬を叩くが起きる気配はない。
「・・・っち」
舌打ちをしたのはギンタにではなく増えた気配に対してだ。ビショップ兵よりもはるかに強い魔力、間違いなく強い。
エドワード(仮)が新たに現れたチェスを挑発するが、幸いなことにチェスは戦いに来たのではないらしい。二人は挑発を交えつつにらみ合う。
その雰囲気を変えたのは目を覚ましたギンタを見、ジャックが放った言葉だった。
「ギンタは異世界から来た人間なんすからね!」
その言葉に、チェスと男の顔色が変わった。チェスは舐めた雰囲気から殺気あふれるそれへと変わり、ジャックは当てられたように後ずさる。対してリィオはギンタを守る様に前へと出た。
しかし、奴らにはギンタを倒すより優先する事項があるらしく城から去っていく。その事に安堵の溜息をつくとギンタは再び目を回した。
「っふ」
その様子に小さく笑うのはリィオ。ジャックはうらやましいと怒りを露わに、バッボは呆れたようにギンタの寝顔を眺めた。
(2016/05/05)
大きい音に敵と切り合ったままのリィオは思わず視線をそちらに向けた。その隙を縫う様に剣劇から飛ばされた水が浅くリィオの手を傷つける。
ギンタの無事を見届けると再びリィオはビショップ兵に意識を向けた。
08.魔法使いは出会う
「ギンタ!」
―――ボンッ
「!?」
音と共に光を発し、エドワードが煙に包まれた。
「おやすみ―――そんで、おはようだ」
煙が晴れ現れたのは、エドワードとは似ても似つかぬ人間の男。長い黒髪を後ろで縛った大柄な男は、ギンタを一撫ですると労いの言葉を掛ける。
「――ギンタって言ったな
犬の方から見てたぜ」
男はギンタに説明を始めた。変身した理由が気になるのでリィオも男の言葉に聞き耳を立てる。
元々別の人間と犬であった二人は、今は合体しておりエドワードが三回ねると男が、男が一回寝るとエドワードが出てくるらしい。呪いの一種かと、リィオは考えた。
リィオを尻目に、男はギンタに火のARMを渡す、男の考えを悟りビショップ兵は攻撃の手をギンタに向けた。しかし、それを許す甘さはリィオには無い。
「させねぇよ!」
剣から飛ばされた水の槍をリィオは剣で防ぐ。
「それは、こっちのセリフだ」
ビショップ兵がギンタに意識を向けた隙、今度はリィオがビショップ兵を凪ぐ。派手に血液をちらし、ビショップ兵は膝をついた。
「ギンタ!」
そんなビショップ兵から視線を外すと、すぐさまリィオは振り向いた。
見たのはお姫様が助けられた瞬間。
氷が解け開放されたお姫様とギンタの唇が触れ合った。そのままショックで倒れたのはお姫様の方ではなくギンタの方で、思わずリィオは彼の側に駆け寄った。
ぺちぺち軽く頬を叩くが起きる気配はない。
「・・・っち」
舌打ちをしたのはギンタにではなく増えた気配に対してだ。ビショップ兵よりもはるかに強い魔力、間違いなく強い。
エドワード(仮)が新たに現れたチェスを挑発するが、幸いなことにチェスは戦いに来たのではないらしい。二人は挑発を交えつつにらみ合う。
その雰囲気を変えたのは目を覚ましたギンタを見、ジャックが放った言葉だった。
「ギンタは異世界から来た人間なんすからね!」
その言葉に、チェスと男の顔色が変わった。チェスは舐めた雰囲気から殺気あふれるそれへと変わり、ジャックは当てられたように後ずさる。対してリィオはギンタを守る様に前へと出た。
しかし、奴らにはギンタを倒すより優先する事項があるらしく城から去っていく。その事に安堵の溜息をつくとギンタは再び目を回した。
「っふ」
その様子に小さく笑うのはリィオ。ジャックはうらやましいと怒りを露わに、バッボは呆れたようにギンタの寝顔を眺めた。
(2016/05/05)