Eternal Oath

城を出ると、お姫様(スノウと名乗った)とエドワードであった男に連れられリィオたちは定食屋へと入った。
そこで男はギンタにこの世界の説明をする。


リィオもその説明を聞き、理解するこの世界の現状を。

一つ、この世界は無数の城によって収められている事

二つ、その城の頂点に立っている城がレスターヴァである事

三つ、世界すべてを破壊しようとしているチェスの駒という集団が居る事

それらを語った国と姫を想う男をリィオは好意的に受け止めた。

09.魔法使いとは何者か


「で、てめぇは何者だ?」

男はリィオを警戒した面持ちで尋ねた。ギンタ達は外でスノウとじゃれている。
小さく溜息をついてリィオは男に向き合った。

「自分は―――リィオ、傭兵だ
今はギンタに雇われている」

その答えに男は眉をひそめた。フードを深くかぶった怪しげな姿では誰であっても警戒するだろう。
ましてやリィオはこの世界の人間ではない、その姿も言動もどこか浮世離れしていた。


「自分を信用できないのは分る」


僅かな沈黙を先に破ったのはリィオだった。男はほぅとリィオの言葉を待つ。
信用を得るべく言葉を重ねるのは、ひとえにギンタを気に入っていたからだ。もう少し、あの金色の側にいたかった。


「―――自分は、門番ピエロを探している」
「っ!?」


嘘と真実を織り交ぜて。


「アレをくぐってこちらへ来た―――ギンタは、自分が漸く掴んだチャンスなんだ
だから、門番ピエロの情報と引き換えに彼の手助けをしている」


筋は通るはずだった。
この世にいくつもないレア中のレアARM。門番ピエロを探すリィオがギンタについていく事は何もおかしくない。
何故ならクロスガードでもチェスでもない人間にとって門番ピエロの存在は雲をつかむようなものだからだ。

まっすぐリィオを見つめて、やがて男は溜息をつく。まぁ平気だろう。そう言っているようにリィオには見えた。


「自分からも一ついいか?」

一区切りついたと判断して、リィオはそう問いかけた。
男は疑問を浮かべつつなんだと言う。

「お前の名前は?」
「あん?エドワードに「それは犬の方の名だろう
自分が効いているのはお前の名前だ」


だってそんなの変だろう?


「二人は合体しているだけで別の人物なんだろう?
それなのに呼ばれるのはエドワードの名前だけだってのは変じゃないか」


別の人間なのだから犬と人間とで別の名前を名乗って何が悪い。
そうリィオは言う。
そんなことを言われたのは合体して以来初めてだった。誰もが自分達を同一視した、向けられた憐みに自虐の意味を込めてエドワードだと名乗り続けた。

こいつだけが俺達を二人だと言い切った。


「わははは!
んなことを言われたのは初めてだぜ!」
「そうか」
「俺の名前はアランだ!
よろしく頼むぜ、リィオ

「ああ、よろしくアラン」

フードから僅かに臨む唇が、弧を描く。


(2016/05/05)