「(そうか、ARMには魔力を込めて使うのか)」
魔女ドロシー(ギンタを付けてきていたらしい)とアランの掛け合いを見ながら、リィオは指にはめたARMを撫ぜた。
「ディメンションARM・・・」
リィオはギンタとスノウと共に異空間に居た。
ギンタはここに入る前にアランから貰ったマジックストーンをバッボにはめている。この石をはめることで、バッボは自由に能力を生み出せるらしい。
「さて、自分もやるか」
ギンタがバッボをハンマーに変形しているのを見ながら、リィオもARMを剣へと変える。
アランもスノウも何も言わなかった。つまりこれはジャックの物とは違いこれは元々能力を持つARMなのだろう。
「スノウ、ギンタ下がってろ」
二人が下がったのを確認し、リィオは魔力をARMに込める。その魔力の強さに、スノウは眼を見開いた。
「(すごい)」
ARMから生み出されたのは炎。強すぎるほどのリィオの魔力を受け、炎は青くその色を変えた。
驚く二人の手前でリィオが軽く剣を振った。
それだけで実戦用に放たれていたゴーレムの半数以上が崩れ落ちた。
「ふぅん」
リィオはその威力に不満なのだろう。剣を見下ろすようなしぐさをし、ゴーレムへと向かっていく。
その姿にスノウも正気を取り戻し、ゴーレムへと向かっていった。
***
修行を初めて二日目。
リィオは珍しく声をあげていた。
「はぁ!?三日!!?」
それは、ガーディアンであるメリロからこの世界で180日を過ごしてもらうと説明を受けていた時である。
半年と言う日数に驚いた二人にスノウは笑って、この世界は外の六十分の一の時間の流れだと言った。安心したギンタと違い声を荒げたのはリィオ。
「(っかやろう、三日もこの世界を保つだって?)・・・大声、悪いな」
異空間を創ると言う事の意味を、本当に理解していたのはリィオだけだった。いくらARMだと言っても、寝たままこの世界を保てるとは思わなかった。
「(三日も寝ずにこんなことする気か・・・)」
それだけギンタに期待していると言うことなのだろう。
***
修行もあと数日を残したころ。
「(魔力が荒れている・・・?)」
空間に僅かな揺れを感じリィオは空を見上げる。もっとも、見上げたところでいつもと同じ空が広がっているだけだった。
***
「バカ野郎だな」
そんな声と共に、アランのピンチを救ったのは長いマントを着た人物。
リィオ達が外に出ると案の定アランがチェスに襲われていた。異空間で感じた魔力の揺れは気のせいではなかったのだとリィオはそう思う。
無理をしたことへの呆れや僅かな憤りをすべて込め、リィオはアランの肩にパンチを一つ。
「ってぇな」
「・・・」
「無視かよ」
アランに背を向けると静かにリィオは剣を構えた。そのタイミングを見計らうかのように、リィオに向かって水の槍が飛ぶ。
「見つけたぜぇ・・?リィオ」
リィオの名を呼ぶのは、氷の城にいたビショップ兵。その目には爛々と怒りが浮かんでいた。
ARMも使いこなせてない男に負けた事を受け入れられるほど、彼の精神は強くはなかった。
「殺してやる」
「―――そうか」
それは、一瞬だった。跳ね上がった魔力、それにビショップ兵が気付くころには視界は赤く。その赤が炎だと気付居た時には、もう全てが終わった後で。
青く、白く炎は色を変えて、それが消えた頃には何も残らなかった。
「・・・・」
「ギンタは強くなった」
ぽかんとリィオを見上げるアランに、そう告げる。リィオの言葉通り、ギンタはイアンを圧倒していた。
イアンのアームはダガーに切り裂かれ、それを治したところでバブルランチャーに囲まれてしまえば爆破を避けられない。
「な?」
ギンタが思いっきりハンマーで殴り飛ばせば、もうイアンは立ち上がれない。
(2016/05/05)
魔女ドロシー(ギンタを付けてきていたらしい)とアランの掛け合いを見ながら、リィオは指にはめたARMを撫ぜた。
10.魔法使いの修行
「ディメンションARM・・・」
リィオはギンタとスノウと共に異空間に居た。
ギンタはここに入る前にアランから貰ったマジックストーンをバッボにはめている。この石をはめることで、バッボは自由に能力を生み出せるらしい。
「さて、自分もやるか」
ギンタがバッボをハンマーに変形しているのを見ながら、リィオもARMを剣へと変える。
アランもスノウも何も言わなかった。つまりこれはジャックの物とは違いこれは元々能力を持つARMなのだろう。
「スノウ、ギンタ下がってろ」
二人が下がったのを確認し、リィオは魔力をARMに込める。その魔力の強さに、スノウは眼を見開いた。
「(すごい)」
ARMから生み出されたのは炎。強すぎるほどのリィオの魔力を受け、炎は青くその色を変えた。
驚く二人の手前でリィオが軽く剣を振った。
それだけで実戦用に放たれていたゴーレムの半数以上が崩れ落ちた。
「ふぅん」
リィオはその威力に不満なのだろう。剣を見下ろすようなしぐさをし、ゴーレムへと向かっていく。
その姿にスノウも正気を取り戻し、ゴーレムへと向かっていった。
***
修行を初めて二日目。
リィオは珍しく声をあげていた。
「はぁ!?三日!!?」
それは、ガーディアンであるメリロからこの世界で180日を過ごしてもらうと説明を受けていた時である。
半年と言う日数に驚いた二人にスノウは笑って、この世界は外の六十分の一の時間の流れだと言った。安心したギンタと違い声を荒げたのはリィオ。
「(っかやろう、三日もこの世界を保つだって?)・・・大声、悪いな」
異空間を創ると言う事の意味を、本当に理解していたのはリィオだけだった。いくらARMだと言っても、寝たままこの世界を保てるとは思わなかった。
「(三日も寝ずにこんなことする気か・・・)」
それだけギンタに期待していると言うことなのだろう。
***
修行もあと数日を残したころ。
「(魔力が荒れている・・・?)」
空間に僅かな揺れを感じリィオは空を見上げる。もっとも、見上げたところでいつもと同じ空が広がっているだけだった。
***
「バカ野郎だな」
そんな声と共に、アランのピンチを救ったのは長いマントを着た人物。
リィオ達が外に出ると案の定アランがチェスに襲われていた。異空間で感じた魔力の揺れは気のせいではなかったのだとリィオはそう思う。
無理をしたことへの呆れや僅かな憤りをすべて込め、リィオはアランの肩にパンチを一つ。
「ってぇな」
「・・・」
「無視かよ」
アランに背を向けると静かにリィオは剣を構えた。そのタイミングを見計らうかのように、リィオに向かって水の槍が飛ぶ。
「見つけたぜぇ・・?リィオ」
リィオの名を呼ぶのは、氷の城にいたビショップ兵。その目には爛々と怒りが浮かんでいた。
ARMも使いこなせてない男に負けた事を受け入れられるほど、彼の精神は強くはなかった。
「殺してやる」
「―――そうか」
それは、一瞬だった。跳ね上がった魔力、それにビショップ兵が気付くころには視界は赤く。その赤が炎だと気付居た時には、もう全てが終わった後で。
青く、白く炎は色を変えて、それが消えた頃には何も残らなかった。
「・・・・」
「ギンタは強くなった」
ぽかんとリィオを見上げるアランに、そう告げる。リィオの言葉通り、ギンタはイアンを圧倒していた。
イアンのアームはダガーに切り裂かれ、それを治したところでバブルランチャーに囲まれてしまえば爆破を避けられない。
「な?」
ギンタが思いっきりハンマーで殴り飛ばせば、もうイアンは立ち上がれない。
(2016/05/05)