「自分が最後か・・・」
リィオが初めてウォーゲームの舞台へ上がったのは二日目の最終戦だった。
初めて見るリィオの戦いを見定めようとするのはチェスだけではない、ドロシーとナナシの両名もともに戦うに値するかを測ろうとしていた。
ウォーゲーム一日目はギンタ・アルヴィス・ジャックの三名が参戦した。結果はギンタとアルヴィスは勝利。ジャックは敗北。
そして二日目は自分とドロシー・ナナシ・スノウの四名の戦いだった。
一戦目のスノウと三戦目のドロシーは勝利。二戦目のナナシが敗北という結果だ。
ここで自分が負ければ試合結果はドローとなりナナシは今後の出場権を失う。
砂を巻き上げる強風にフードをしっかりと押さえつけた。
「それでは第四試合を始めましょう
リィオVSギーグ!!」
ポズンの声に合わせ両陣営から一人ずつ前に出る。
メル側はフードとローブを着込んだ人物でチェス側は笑顔もさわやかな好青年といった風貌の男だった。
「どっちが悪者かわからんな」
思わずナナシが苦笑い。
ただしいくら好青年に見えたところで相手の耳に光るビショップの駒がそれを否定していた。
「ねぇ、君さそんなフードしてて戦いにくくない?」
貼り付けた笑顔でギーグが聞いた。
リィオの顔をすっぽり隠すフードは確かに戦いにくそうに見えるが本人は慣れてしまっているのだろう危なげなく剣を振るっていた。
「・・・別にっ」
ギーグがリィオから距離をとった。
「そっかぁ残念だなぁ」
「・・・?」
魔力が上がり始めたギーグ。
「リィオ!気をつけて!!」
スノウに声をかけられる前から、リィオは走り出していた。距離をとるということは何かをしようとしているということだ。
しかしARMの発動の方がひと足早く、リィオの行く手を大きなドラゴンが阻む。
「僕はこのARMで絶望の顔を見るのが好きなのにさぁ」
にやりと笑う顔にはもう好青年の面影はない。やはりチェスはチェスでリィオはメルのメンバーなのだ。
「ドラゴン、か」
大きく吐かれた炎がリィオに迫る。慣れた風に距離を取りリィオはローブで火の粉を払う。
「まぁいいか
死体にしてからゆっくり顔みれば」
巨大なドラゴンとさして大きくはないリィオ。ギーグが勝ったつもりになるのも致し方がないことだった。
現にリィオのARMの剣劇も炎もドラゴンに傷一つつけられない。何回か攻撃をいなすとリィオはARMを指輪へと戻した。
「ちょっとリィオ!??」
「平気」
驚いたのは何もスノウたちだけではない敵であるチェスたちも驚き一瞬ドラゴンの動きが止まる。
走るリィオの姿に慌ててドラゴンに命令するがその巨体故どうしても攻撃は遅くなる。
「ドラゴンってのはどうしてこうもまぁ
往々に愚鈍なのかね」
もっとも攻撃力はその分すさまじいが。
最後にギーグが見たのは腰のブレードを引き抜くリィオの姿だった。
「がっ」
ドラゴンの爪がリィオに触れる少し前、魔力の供給を失い消えてなくなる。
「そして、ガーディアンARMってのもいただけないね」
術者が動けないなんて使えないと、血しぶきを払いながらリィオは言った。その足元ではギーグだったものが転がっている。
彼もまさかただの剣に止めを刺されるとは思っていなかっただろう。その表情は絶望にくれたものだった。
あんまり気持ちのいい顔ではないね。
リィオは興味なさげにそれから視線を外した。
「勝者!メル―リィオ!」
(2016/05/05)
リィオが初めてウォーゲームの舞台へ上がったのは二日目の最終戦だった。
初めて見るリィオの戦いを見定めようとするのはチェスだけではない、ドロシーとナナシの両名もともに戦うに値するかを測ろうとしていた。
15.魔法使いの初戦
ウォーゲーム一日目はギンタ・アルヴィス・ジャックの三名が参戦した。結果はギンタとアルヴィスは勝利。ジャックは敗北。
そして二日目は自分とドロシー・ナナシ・スノウの四名の戦いだった。
一戦目のスノウと三戦目のドロシーは勝利。二戦目のナナシが敗北という結果だ。
ここで自分が負ければ試合結果はドローとなりナナシは今後の出場権を失う。
砂を巻き上げる強風にフードをしっかりと押さえつけた。
「それでは第四試合を始めましょう
リィオVSギーグ!!」
ポズンの声に合わせ両陣営から一人ずつ前に出る。
メル側はフードとローブを着込んだ人物でチェス側は笑顔もさわやかな好青年といった風貌の男だった。
「どっちが悪者かわからんな」
思わずナナシが苦笑い。
ただしいくら好青年に見えたところで相手の耳に光るビショップの駒がそれを否定していた。
「ねぇ、君さそんなフードしてて戦いにくくない?」
貼り付けた笑顔でギーグが聞いた。
リィオの顔をすっぽり隠すフードは確かに戦いにくそうに見えるが本人は慣れてしまっているのだろう危なげなく剣を振るっていた。
「・・・別にっ」
ギーグがリィオから距離をとった。
「そっかぁ残念だなぁ」
「・・・?」
魔力が上がり始めたギーグ。
「リィオ!気をつけて!!」
スノウに声をかけられる前から、リィオは走り出していた。距離をとるということは何かをしようとしているということだ。
しかしARMの発動の方がひと足早く、リィオの行く手を大きなドラゴンが阻む。
「僕はこのARMで絶望の顔を見るのが好きなのにさぁ」
にやりと笑う顔にはもう好青年の面影はない。やはりチェスはチェスでリィオはメルのメンバーなのだ。
「ドラゴン、か」
大きく吐かれた炎がリィオに迫る。慣れた風に距離を取りリィオはローブで火の粉を払う。
「まぁいいか
死体にしてからゆっくり顔みれば」
巨大なドラゴンとさして大きくはないリィオ。ギーグが勝ったつもりになるのも致し方がないことだった。
現にリィオのARMの剣劇も炎もドラゴンに傷一つつけられない。何回か攻撃をいなすとリィオはARMを指輪へと戻した。
「ちょっとリィオ!??」
「平気」
驚いたのは何もスノウたちだけではない敵であるチェスたちも驚き一瞬ドラゴンの動きが止まる。
走るリィオの姿に慌ててドラゴンに命令するがその巨体故どうしても攻撃は遅くなる。
「ドラゴンってのはどうしてこうもまぁ
往々に愚鈍なのかね」
もっとも攻撃力はその分すさまじいが。
最後にギーグが見たのは腰のブレードを引き抜くリィオの姿だった。
「がっ」
ドラゴンの爪がリィオに触れる少し前、魔力の供給を失い消えてなくなる。
「そして、ガーディアンARMってのもいただけないね」
術者が動けないなんて使えないと、血しぶきを払いながらリィオは言った。その足元ではギーグだったものが転がっている。
彼もまさかただの剣に止めを刺されるとは思っていなかっただろう。その表情は絶望にくれたものだった。
あんまり気持ちのいい顔ではないね。
リィオは興味なさげにそれから視線を外した。
「勝者!メル―リィオ!」
(2016/05/05)