「リィオ!勝負だ!」
「ふっ、自分は強いぞ」
その日の夜、リィオは男たちに囲まれていた。
目の前にドンとおかれたのは一番度数の高い酒の入った樽。ジョッキを各々手に取り男たちは会戦の雄たけびを上げた。
「う゛ぇぇぇ゛」
屍累々。
まさにそんな言葉がぴったりな光景がリィオの周りに広がっていた。飲み比べ勝負の結果はリィオの一人勝ちだ。
レギンレイヴの兵だけではない、様々な鎧の男たちがそこには倒れていた。
「なんだ、もう潰れたのか」
飲み比べが始まったころと同じ声色でリィオはあたりを見回した。
そんなリィオに近づくのは今日の戦いで仲間と認めたらしいナナシである。
元来盗賊という職業がら顔や名前を隠しているものも多い。リィオにとって予想外なことに彼はリィオの姿にはこだわらずただ味方かどうかと強いかどうかだけを見ていたようだ。
「それ度数きっついやつやろ
よう飲めるなぁ」
「お前も同じもののんでるだろ」
そうナナシの手に持たれたそれもリィオと同じ酒だ。
「自分はそないにがぶがぶ飲まれへれんもん」
”もん”なんて三十手前の男の使う言葉ではないな。
そう思ったが酒と一緒にその言葉は飲み込んだ。
ダウンした兵士たちが消えたことでわらわらと若い女たちが二人の周りに集まり始めた。ナナシが目当てだとリィオは思い、空になったジョッキを埋めに立ち上がろうとする。
「リィオさんおつぎします」
「あーずるい!私もつぐー!!」
途端若い女たちが声を上げる。
酒が飲めればいいのか、女には興味がないのか、酒を注ぐ女たちにリィオは軽く礼を言うだけで済ませていた。
その光景にわなわなとナナシが震える。どう見ても自分を取り囲む女よりもリィオを取り巻く女の方が多かった。
「なんでや」
今まで女の人気は彼のものだった。端正な顔立ちのアルヴィスなら
ともかく、なぜリィオ女性が集まるのか。
「ミステリアスなところが素敵」「硬派なところが素敵」
「なんでやー」
さっぱりわからない理由にナナシだけではなくリィオも心の中で首を傾げた。
―――ギンタが倒れたぞ!!
―――やっぱり子供に酒はいかん!!
そんな彼らのもとに男たちの叫びが聞こえる。
どうやらメルのリーダーが酒の飲みすぎで倒れたらしい。リィオたちから離れた場所でギンタを同室のジャックがおんぶしている姿が見えた。
「・・・今日はお開きだな
酒何本か部屋に貰ってってもいいのか?」
「ってまだ飲むんかい!」
よいしょとおっさんのような声をだしながらリィオが立ち上がる。
そのタイミングでリィオの言葉を聞いていた女がワインの瓶を何本か持ってきた。
「?もちろん
じゃあまた明日」
後ろ手に手をひらひら振ってリィオはその場を去る。そしてギンタに近寄ると何も言わずに水を飲ませていた。
そのスマートさに女たちの言葉が分かった気がしたナナシであった。
* * *
「まだ飲まれるのですか?」
「お前も同じこと言うんだな」
部屋に戻りワインを開けるとエドワードからも突っ込まれた。
その後エドワードはリィオに流され一杯だけと寝酒に付き合うが、結局ワインボトルを一本開けることとなり久々の睡眠につくこととなる。
(2016/05/05)
「ふっ、自分は強いぞ」
その日の夜、リィオは男たちに囲まれていた。
目の前にドンとおかれたのは一番度数の高い酒の入った樽。ジョッキを各々手に取り男たちは会戦の雄たけびを上げた。
16.打ち上げでの魔法使い
「う゛ぇぇぇ゛」
屍累々。
まさにそんな言葉がぴったりな光景がリィオの周りに広がっていた。飲み比べ勝負の結果はリィオの一人勝ちだ。
レギンレイヴの兵だけではない、様々な鎧の男たちがそこには倒れていた。
「なんだ、もう潰れたのか」
飲み比べが始まったころと同じ声色でリィオはあたりを見回した。
そんなリィオに近づくのは今日の戦いで仲間と認めたらしいナナシである。
元来盗賊という職業がら顔や名前を隠しているものも多い。リィオにとって予想外なことに彼はリィオの姿にはこだわらずただ味方かどうかと強いかどうかだけを見ていたようだ。
「それ度数きっついやつやろ
よう飲めるなぁ」
「お前も同じもののんでるだろ」
そうナナシの手に持たれたそれもリィオと同じ酒だ。
「自分はそないにがぶがぶ飲まれへれんもん」
”もん”なんて三十手前の男の使う言葉ではないな。
そう思ったが酒と一緒にその言葉は飲み込んだ。
ダウンした兵士たちが消えたことでわらわらと若い女たちが二人の周りに集まり始めた。ナナシが目当てだとリィオは思い、空になったジョッキを埋めに立ち上がろうとする。
「リィオさんおつぎします」
「あーずるい!私もつぐー!!」
途端若い女たちが声を上げる。
酒が飲めればいいのか、女には興味がないのか、酒を注ぐ女たちにリィオは軽く礼を言うだけで済ませていた。
その光景にわなわなとナナシが震える。どう見ても自分を取り囲む女よりもリィオを取り巻く女の方が多かった。
「なんでや」
今まで女の人気は彼のものだった。端正な顔立ちのアルヴィスなら
ともかく、なぜリィオ女性が集まるのか。
「ミステリアスなところが素敵」「硬派なところが素敵」
「なんでやー」
さっぱりわからない理由にナナシだけではなくリィオも心の中で首を傾げた。
―――ギンタが倒れたぞ!!
―――やっぱり子供に酒はいかん!!
そんな彼らのもとに男たちの叫びが聞こえる。
どうやらメルのリーダーが酒の飲みすぎで倒れたらしい。リィオたちから離れた場所でギンタを同室のジャックがおんぶしている姿が見えた。
「・・・今日はお開きだな
酒何本か部屋に貰ってってもいいのか?」
「ってまだ飲むんかい!」
よいしょとおっさんのような声をだしながらリィオが立ち上がる。
そのタイミングでリィオの言葉を聞いていた女がワインの瓶を何本か持ってきた。
「?もちろん
じゃあまた明日」
後ろ手に手をひらひら振ってリィオはその場を去る。そしてギンタに近寄ると何も言わずに水を飲ませていた。
そのスマートさに女たちの言葉が分かった気がしたナナシであった。
* * *
「まだ飲まれるのですか?」
「お前も同じこと言うんだな」
部屋に戻りワインを開けるとエドワードからも突っ込まれた。
その後エドワードはリィオに流され一杯だけと寝酒に付き合うが、結局ワインボトルを一本開けることとなり久々の睡眠につくこととなる。
(2016/05/05)