「ああ、そうだ君の呪いを解いてあげよう」
開口一番、トム―――もといチェスの司令塔ファントムがそう言った。
三回戦も無事メル側の勝利となり、浮かれたギンタたちの元へファントムが現れた。目的はナイトたちから、メルへの宣戦布告だ。
浪々と告げられたファントムの言葉、飛び出しそうなギンタの肩に置かれたリィオの手がぎりりときしむ。
「―――!リィオ!!」
痛いとギンタが訴えた。そして、知っていたんだと小さく呟いた。
その目が何となしに元気がなかったのは、トムに裏切られたということとリィオが守ってくれていたという事実によるものだ。
現にギンタはごめんと頭を下げた。リィオは気にしていないと首を振った。
「自分は仕事をこなしただけだ
だから、気にするな」
フードから零れた口元が笑う。それを見てギンタは漸く笑顔を見せた。
「そうだ!試したいことがあるんだ!」
ばっと、ギンタが頭を上げた。リィオはフードの前を下げ成り行きを見守ることにする。
どうやらアランとアルヴィスの呪いを解くつもりらしい。もっと早くアリスを作ってればリィオのことも治せたのにな!そう笑うギンタはやはり優しいのだろう。
一転黙ると、ギンタの魔力が涼やかなものに変わる。すぐにバッボは美しい女性となった。アリスは並んで立つアランとアルヴィスに手をかざす。パァと白い光があたりを包み、後には三人が残った。
目を開き移った互いの姿に喜びの声をあげるアランとエドワード。一方アルヴィスは呪いが残ったままの右腕を見て、気持ちだけ受け取っておくとギンタにお礼を告げていた。
「良かったな、アラン」
「ああ、それはともかく
リィオは大丈夫なんだろうな?」
呪いのことかと問えば、アランは頷く。せっかくだし一緒にアリスをかけてもらえば良かったと言う彼に、リィオはゆるく頭を振った。
「あれは、ファントムの正体をしゃべらないように掛けられたものだったからな
現にチェスとも戦えていただろ?」
あの時点でトムがファントムだとギンタに知られるわけにはいかなかった。
彼の性格上戦いは必至で、それはファントムが望むことではなかったからな。
イマジナリーフレンド、そうファントムの使ったARMの名を告げると、アランは漸く安心したように組んだ腕をほどいた。それが決して強いARMでないことを彼は知っている。
なら平気か。アランはたばこを銜えなおしながら、ガイラの方向へ向きなおす。
ただリィオを心配しただけではなさそうだ。
「ギンタ、リィオ、ジャック、ナナシ、ドロシー
お前たちには今から一日分修練の門に入ってもらう」
「(ああ)」
そう言うことか。
リィオは納得した。
いまいち納得できなそうなドロシーとナナシをスルーし、ガイラは話をつづけた。
「お前たちには今回
ある意味戦いにくい敵と戦ってもらう―――」
結局敵が誰なのかは告げられないまま、リィオ達は各々別々の世界に飛ばされることとなった。
(2016/05/05)
開口一番、トム―――もといチェスの司令塔ファントムがそう言った。
三回戦も無事メル側の勝利となり、浮かれたギンタたちの元へファントムが現れた。目的はナイトたちから、メルへの宣戦布告だ。
浪々と告げられたファントムの言葉、飛び出しそうなギンタの肩に置かれたリィオの手がぎりりときしむ。
18.魔法使いが対峙した
「―――!リィオ!!」
痛いとギンタが訴えた。そして、知っていたんだと小さく呟いた。
その目が何となしに元気がなかったのは、トムに裏切られたということとリィオが守ってくれていたという事実によるものだ。
現にギンタはごめんと頭を下げた。リィオは気にしていないと首を振った。
「自分は仕事をこなしただけだ
だから、気にするな」
フードから零れた口元が笑う。それを見てギンタは漸く笑顔を見せた。
「そうだ!試したいことがあるんだ!」
ばっと、ギンタが頭を上げた。リィオはフードの前を下げ成り行きを見守ることにする。
どうやらアランとアルヴィスの呪いを解くつもりらしい。もっと早くアリスを作ってればリィオのことも治せたのにな!そう笑うギンタはやはり優しいのだろう。
一転黙ると、ギンタの魔力が涼やかなものに変わる。すぐにバッボは美しい女性となった。アリスは並んで立つアランとアルヴィスに手をかざす。パァと白い光があたりを包み、後には三人が残った。
目を開き移った互いの姿に喜びの声をあげるアランとエドワード。一方アルヴィスは呪いが残ったままの右腕を見て、気持ちだけ受け取っておくとギンタにお礼を告げていた。
「良かったな、アラン」
「ああ、それはともかく
リィオは大丈夫なんだろうな?」
呪いのことかと問えば、アランは頷く。せっかくだし一緒にアリスをかけてもらえば良かったと言う彼に、リィオはゆるく頭を振った。
「あれは、ファントムの正体をしゃべらないように掛けられたものだったからな
現にチェスとも戦えていただろ?」
あの時点でトムがファントムだとギンタに知られるわけにはいかなかった。
彼の性格上戦いは必至で、それはファントムが望むことではなかったからな。
イマジナリーフレンド、そうファントムの使ったARMの名を告げると、アランは漸く安心したように組んだ腕をほどいた。それが決して強いARMでないことを彼は知っている。
なら平気か。アランはたばこを銜えなおしながら、ガイラの方向へ向きなおす。
ただリィオを心配しただけではなさそうだ。
「ギンタ、リィオ、ジャック、ナナシ、ドロシー
お前たちには今から一日分修練の門に入ってもらう」
「(ああ)」
そう言うことか。
リィオは納得した。
いまいち納得できなそうなドロシーとナナシをスルーし、ガイラは話をつづけた。
「お前たちには今回
ある意味戦いにくい敵と戦ってもらう―――」
結局敵が誰なのかは告げられないまま、リィオ達は各々別々の世界に飛ばされることとなった。
(2016/05/05)