Eternal Oath

修練の門から出てきたギンタたちは見違えるほど魔力が変わっていた。
それに目を見張りつつも満足そうな笑みを向けるあたり三人ともよく似ている。

21.魔法使いの内緒話


「さて、みんな少しいいか?」

第四回戦にいざ向かおうという直前リィオがそう切り出した。

「今回ナイトが出てきたら自分に戦わせてほしい
・・・みんなにも聞いてほしいことがあるんだ

自分の正体を」

いや、正体ってのもおかしいか。とにかく自分の隠していたことを話すから聞いてほしいんだ。

えらく穏やかにリィオは笑う。なぜと声に出したのはガイラだった。

昨日リィオを問い詰めてからというものリィオはガイラに好意的に接するようになった。もっとも優しくなったとか、そういう事ではなくて今までどこか距離をとっていた態度がなくなった。


「ガイラもアラン、二人とも本気でメルヘヴンのことを思ってる
自分はそういう風に思える物事はないから、それをすごく羨ましく思ってるしかっこいいと思う
それに、二人とも自分を疑ってることを隠さなかったろ?

自分はまっすぐな奴がけっこう好きなんだ
だからガイラも好きになった、だから話してもかまわないと思った
それは不思議な事か?」

あと、二度同じ話をするのはめんどくさい。だからみんなの前で話したい。
あ、スノウも修練の門から出しておいてね。

腰のブレードにリィオは手を乗せた。相変わらず表情は垣間見れないがまとう雰囲気が柔らかく、顔を手で覆いガイラは押し黙った。




話が終わるのを待っていたポズンがメルのメンバーを第四回戦のステージである氷原にワープさせる。

「だ、大丈夫か?リィオ

そう氷原。炎のARM使いのリィオには部の悪いステージだ。
ARMから炎をだして暖をとるリィオをみるドロシーとナナシの目は生ぬるい。誰よりも着込んでいるくせに、がたがたと震える姿はいっそ滑稽だ。

そんなリィオをチェスも馬鹿にしたような目でみる。特にナイトの女は声高にメルを罵った。

「あれ倒すの自分だからね」
決して沸点の高くないジャックとギンタが殺気立っているので、その頭をリィオが抑える。その手はがたがたと震えていて、二人はナイトの女―ラプンツェル―よりもリィオの心配に回る。
いいから火を出せと、ギンタは頭から手をはがす。恰好つけても、やっぱり寒いものは寒い。ARMの炎が体を温める。

あれ?ARMとシンクロしてる所為で寒いんだったらARMを外して来ればよかったんじゃね?そうリィオが思いたのはジャックの試合が終わったころだった。


「そんなんで大丈夫かいな」
「お前にだけは言われたくない」

女の子と戦いたがるナナシをばっさり切り捨てて。
あっという間にリィオの番がくる。今回もトリだった。


(2016/05/05)