鏡
朝のランニングに出かけると咲さんがいた。
今日もスケッチをしているようだ。
「おはよう」
「・・・っ凍季也君!
おはよう」
彼女の持つスケッチブックには風景画が描かれていた。
「相変わらず上手だな」
「そ、そんなことないよ」
照れる彼女に自然と僕の表情も緩んだ。
お世辞でもなんでもなく、彼女の絵は上手だ。
ただ風景を切り取るだけではない何かがそこにはある。
僕の絵を描いた時もそうだった。
鏡で見る自分の顔とは全然違う。
「同じなのに違うんだな」
まじまじ絵を見る僕に、”見ないで”と絵を隠す彼女がかわいくて仕方がない。
隠さなくてもいいのに。
(まる写しではない彼女の絵が好き)
(2014/12/29)
元拍手のおまけ。