どっちつかず。
ずっとそう生きてきた私にくれた言葉。
”それが霧月の良さだろう”
あの日たしかに私はあなたに救われたの。
紅麗が動き出したのは、水鏡との事件があってから幾日もたたない時だった。
病院に呼び出されて行ってみれば、大けがをしている女の人と。
気を失った烈火。
幸い烈火はすぐ目を覚ましたが・・・病院には柳姫の姿はなく。
「姫っ!」
切羽のつまった烈火は、陽炎を呼びだした。
そして陽炎から、ことの一部始終を聞く。
紅麗の館へ行くという烈火に、陽炎は必死に止める。
――私も行く、だから行かせてあげて。
唇だけで、陽炎に伝える。
おそらく通じたはず。
陽炎の前で、烈火は土下座をして頼んでいる。
「・・・わかりました」
結局陽炎が折れた。
紅麗の館は、都心から少し離れた森の奥。
私たちは一度家に帰り装備を整え、そこに向かう。
”紅麗・・・”
影界玉でみた紅麗は暗い目をしていて。
その目は、烈火をさしたあの時と同じ目で。
早く、紅麗に会いたくなった。
やっとついた紅麗の館。
宣戦布告代わりに打ち上げられた花火。
緊張がはしる面々。
私も仄かに緊張する。
やっと紅麗に会えるのだから。
「さあ、行こうか」
出てきたSPを倒しつつ。
あ、ちゃんと手加減はしたよ?
私は烈火達より弱くなきゃいけないんだから。
彼らを強くするためにも。
だから
「すっげぇ」
っていう、風子のつぶやきは聞こえなかった。
ええ、聞こえなかったともさ。
館にはいるとすぐレーザーを出す石像―マリア―がいたが、烈火達のチームプレイで難なくたおした。
手助けはしないが、殺させない(手助けしたら烈火達の成長を妨げちゃいそうだし)。
守るために私はここにいるのだから。
そう、たとえ―――
「私はこの部屋の主
形代零蘭です」
―――最初の部屋にいたのが魔導具使いだとしても。
(2011/08/03)
ずっとそう生きてきた私にくれた言葉。
”それが霧月の良さだろう”
あの日たしかに私はあなたに救われたの。
05.手は出さないが出させない
紅麗が動き出したのは、水鏡との事件があってから幾日もたたない時だった。
病院に呼び出されて行ってみれば、大けがをしている女の人と。
気を失った烈火。
幸い烈火はすぐ目を覚ましたが・・・病院には柳姫の姿はなく。
「姫っ!」
切羽のつまった烈火は、陽炎を呼びだした。
そして陽炎から、ことの一部始終を聞く。
紅麗の館へ行くという烈火に、陽炎は必死に止める。
――私も行く、だから行かせてあげて。
唇だけで、陽炎に伝える。
おそらく通じたはず。
陽炎の前で、烈火は土下座をして頼んでいる。
「・・・わかりました」
結局陽炎が折れた。
紅麗の館は、都心から少し離れた森の奥。
私たちは一度家に帰り装備を整え、そこに向かう。
”紅麗・・・”
影界玉でみた紅麗は暗い目をしていて。
その目は、烈火をさしたあの時と同じ目で。
早く、紅麗に会いたくなった。
やっとついた紅麗の館。
宣戦布告代わりに打ち上げられた花火。
緊張がはしる面々。
私も仄かに緊張する。
やっと紅麗に会えるのだから。
「さあ、行こうか」
出てきたSPを倒しつつ。
あ、ちゃんと手加減はしたよ?
私は烈火達より弱くなきゃいけないんだから。
彼らを強くするためにも。
だから
「すっげぇ」
っていう、風子のつぶやきは聞こえなかった。
ええ、聞こえなかったともさ。
館にはいるとすぐレーザーを出す石像―マリア―がいたが、烈火達のチームプレイで難なくたおした。
手助けはしないが、殺させない(手助けしたら烈火達の成長を妨げちゃいそうだし)。
守るために私はここにいるのだから。
そう、たとえ―――
「私はこの部屋の主
形代零蘭です」
―――最初の部屋にいたのが魔導具使いだとしても。
(2011/08/03)