Eternal Oath

次の部屋に居たのは紅麗で。
みんなは紅麗に床の下に落とされた。

私は、落とし穴をよけ、彼と向き合う。

08.望みに望んだ


「・・・紅・・・麗」

出てきた言葉が思わず小さくなってしまったのは。


霧月なのか?」
「うん」

あなたが生きててうれしかったから。


「紅麗!」

思わず抱きつく。
すこしずれてこの時代に流れてきたせいで、逆転した年齢。
私より小さかった身長は、はるかに私より大きくなっていて。

その体からは、温かい人の温度が伝わってくる。

紅麗も私の背に手を回す。


「紅麗・・・」


そっと、手を仮面にかける。
仮面の中には確かに成長した紅麗の顔。

しかし端正なその顔は、半分焼けてしまっていた。
もったいないとそう思う。

でも、私を見るその瞳は、昔とちっとも変ってなくて。

本当に本当にうれしかった。


霧月は変わってないようだな」


それは、私が烈火達についていることを指しているのだろう。


「紅麗こそ」

烈火のことを恨んでいることも。
麗奈の教えを守っていることも。
ちっとも変わらない。

「私は、柳姫も烈火も殺させないけど、烈火の味方なわけじゃない」


どっちつかず。
いつもと同じ私のスタンス。


でも、近い未来どちらかに傾倒することがあるのかもしれない。

烈火が、紅麗と同じくらいつよくなったら。
そうしたら・・・私は。


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侵入者の写真を見た時には気づかなかった。
気づいたのは、石王に使ったあの魔導具。

あれは、彼女にしか扱えない彼女の魔導具だから。


気づいたら治癒の少女に確かめていた。
出てきたのは確かに彼女、霧月の名前で。


長らく忘れていた感情が私の心を支配した。


霧月


呪い子と分かった後も私に声を掛けてくれたあの年上の少女。
私が仄かな想いをだいた。
優しいかった、あの少女。

少しも変わらず。


すこし流れ着く時間がずれてしまったためか、年下になっているようだ。


霧月なのか?」
「うん」


烈火側についているのは、私に烈火を殺させないためか。
烈火が疎ましい。

「紅麗!」


少し大人びた声。
しかし、私に抱きつくその体は小さく。

思わず彼女の背に腕を回す。


霧月は変わってないようだな」


みんなを守る。
よく言っていた彼女の言葉。
忍としては甘いその言葉。


「紅麗こそ」

それでも私は、それが好きだ。
霧月の優しさは私の救ってくれたのだから。


「私は、柳姫も烈火も殺させないけど、烈火の味方なわけじゃない」


ああ。知っているよ。
それでいいんだ、霧月


(2011/08/05)