Eternal Oath

これから話すのは真実の一端。
全てはここから始まった。

12.優しい思い出


柳姫とついでに先生を助けだしてから数日。
火影の館で、まず最初に陽炎が語る。

烈火の出生。
そして、紅麗の境遇。


「そーいや、霧月は?
霧月も炎術士ってやつなんだろ?」
霧月も400年前から来たのか!?」


そう、次は私の話。


「私は炎術士であり、水術士」

言いながら、炎と水を出して見せた。

「水術士?」
「そ、水術士。
簡単に言うと、炎術士の水バージョンってとこ。
炎術士とちがって、何代かに一度しか生まれないんだ。

で、私や火影の初代頭首、つまり火影を作った人が炎術士であり水術士だったの」


そして私は―――

「400年前に時空流離で流されてきた子供なの」


そう、命がけで母は流してくれた。


「ちょっと、村でごたごたしてて私の命が危なくて・・・それで流された。

それが、私が5歳の時。
で、それから一年くらいして烈火が生まれて


でも、私は紅麗のことも麗奈のことも陽炎のことも・・・桜花のこともみんなみんな好きだったから
みんなと仲良く楽しくやってた。
で、烈火達と共に流されたOK?」


簡単に言うとこんな感じかなー。
というか、自分のこと話すの初めてだから緊張するな・・・。


「質問ある?」

「君は・・・僕たちの味方か?」


おおう、さすが痛いところつくな凍季也は。
みんなの視線が私に刺さる。


「うーん、今は味方かな?
紅麗と烈火と陽炎と柳姫と風子と土門と凍季也が生きてればなんでもいいやって感じ

とりあえず、今は紅麗が烈火殺しちゃうかもしれないし柳姫危険だしこっち側」


ほっと息をつくものが数名。
ますます警戒を強めるものが約一人。
とくに反応を示さないのも約一人。


「でも安心して、どっち側についてようが私の目的は”誰も死なせないことだから”」
「死なせない?」

「うん」

柳姫は私の言葉にふにゃりと笑った。

みんなの視線が痛いよ。


「とりあえず、姫を攫ったりはしないんだな!?」
「うん。たぶんね。
そっちのほうが安全ならそうするけど、烈火が守るでしょ?」

「当然だ!」


まだ『全て』を話すのには早いか。
後なに話すべきだっけ?


「俺たちに手をださないならいいんだけどよ。
霧月、それなんだべ」

土門が私の指輪を指した。


「ああ、これは魔導具」
「魔導具!?」

「うん、吸収君って言うの。
私が名付けたんだけどね」

「だっせぇ」

風子、ほっといて。

良い感じに私への不信感もとけたみたいだし(約一名除く)、まあ説明としてはこんなものだろう。
ちょうど敵も来たみたいだし、良い感じに話はとぎれた。


次話すときは、『全て』を伝えられるといいな。


(2011/08/19)