結局あの後、敵がやってきて、そしてお開きになった。
みんなは散る、それぞれの修業の為。
私はというと・・・。
家へ帰ってきていた。
一人きりの空間で、広げるは、今まで吸収君に覚えさせてきた魔導具。
「・・・随分そろったな」
「うん」
水沫(すいまつ)の声に私は頷く。
かなりの数あるそれら。
私はそれを、一つずつ手に取る。
「さて、やるか」
今することは、これらの魔導具を片っ端から調べて、調べ尽くすこと。
「手伝うか?」
「いや、いい」
水沫の申し出を私は断る。
どうしても自分だけでやりたかったから。
「分かった、何かあったら呼べよ?」
「うん。分かってる」
水沫が私の頭を撫でる。
「・・・そういえばさ」
「どうした?急に」
久々に水沫が出てきたから思いだした。
烈火の事。
いや、正確に言うと烈火の炎の事。
「烈火、八竜の力を手に入れられると思う?」
「・・・さあな。
私が八竜だったら、力を貸すが・・・」
「烈火ならきっと大丈夫だよね?」
八竜は烈火を殺そうとはしないだろうけれど・・・。
「支え、られるかな?」
彼らの行く末を受け止めきれるだろうか。
それだけが、心配。
「霧月は受け止めただろう?」
「そう、だね」
私は自らの腕に目を落とす。
”水沫”と書かれた黒い刺青。
火と水。
私の両方の型である水沫もまた守れずして”竜”と化した人間。
「水沫・・」
「なんだ?」
「絶対に、”水沫”を終わらせるから」
「ああ、楽しみにしているよ・・・霧月・・・・我が宿主よ」
僅かに揺らぎ、水沫は消えた。
正確には私の中に入っただけなんだけど。
「よしっ」
私は作業を始めようと、ノートを準備して、深呼吸。
私が”大切な誰か”を守りきれば水沫は消える。
竜の呪縛から解き放たれる。
私は一人で、魔導具を解体し始める。
「これがこうなってて、こうなるから・・・・」
どうしても、作りたい魔導具があった。
-----------
烈火が尋ねてきたのは数日後。
魔導具の作成を始めたころだった。
―――ピンポーン
「は~い!何?」
「何って!?来なかったのか?」
突然訪ねてきたのは、烈火。
いきなり何なんだよ。
「来たって?」
「紅麗の馬鹿からの伝言だよ!
裏武道殺陣っての」
何そのまがまがしい名前。
紅麗が考えたのかな?
あ、やばい。笑う・・・。
「なんで笑ってるんだよ!?」
「な、なんでもない・・・
で、その裏武闘殺陣って何?」
「ああ、良くわかんねぇけど戦うみたいだ」
烈火が困ったように言う。
正直詳細は良く分かんない。
「ふぅん、私も行く」
でも、烈火達と紅麗がいるなら行く。
「ついてくるのか?」
「うん駄目?」
「いや良いけどよ・・・」
「まぁ、駄目って言われても着いていくけどね
ところでさ、腕・・・どうしたの?」
腕を指して言う。
そ の 腕 に は 、 崩 と 砕 の 文 字 。
烈火は恥ずかしそうに腕を振った。
「これか?
これは、二匹とりこんでやった!」
二匹。
後六匹か。
「ん、良かったね」
「おう!
ん?そういやお前この数日何やってたんだ?」
烈火が聞く。
なかなか痛いとこつくね。
「・・・秘密?」
「おまっ
・・・まぁ、霧月らいいか
後で日時とか連絡くるらしいからまた来るべ」
「あいよー」
手を振りながら烈火が帰る。
烈火が帰ったのをみてから、水沫が現れた。
「腕見た?」
「見た」
「よかったぁ」
竜は烈火の力になった。
やっぱ、烈火は強くなるよ。
「どんな力かな?」
「裏武闘殺陣とやらに行けば分かるのではないか?」
う~ん。
まぁそうなんだろうけど。
「早くみたいなぁ」
そう思ってしまうのも事実なわけで。
「霧月」
「何?」
「魔導具作りはどうするんだ?」
「あ~、作りかけのと作る道具蔵王に入れて持って歩く」
完成は、裏武闘殺陣の会場で・・・かな?
(2011/09/18)
みんなは散る、それぞれの修業の為。
私はというと・・・。
13.水沫と魔導具
家へ帰ってきていた。
一人きりの空間で、広げるは、今まで吸収君に覚えさせてきた魔導具。
「・・・随分そろったな」
「うん」
水沫(すいまつ)の声に私は頷く。
かなりの数あるそれら。
私はそれを、一つずつ手に取る。
「さて、やるか」
今することは、これらの魔導具を片っ端から調べて、調べ尽くすこと。
「手伝うか?」
「いや、いい」
水沫の申し出を私は断る。
どうしても自分だけでやりたかったから。
「分かった、何かあったら呼べよ?」
「うん。分かってる」
水沫が私の頭を撫でる。
「・・・そういえばさ」
「どうした?急に」
久々に水沫が出てきたから思いだした。
烈火の事。
いや、正確に言うと烈火の炎の事。
「烈火、八竜の力を手に入れられると思う?」
「・・・さあな。
私が八竜だったら、力を貸すが・・・」
「烈火ならきっと大丈夫だよね?」
八竜は烈火を殺そうとはしないだろうけれど・・・。
「支え、られるかな?」
彼らの行く末を受け止めきれるだろうか。
それだけが、心配。
「霧月は受け止めただろう?」
「そう、だね」
私は自らの腕に目を落とす。
”水沫”と書かれた黒い刺青。
火と水。
私の両方の型である水沫もまた守れずして”竜”と化した人間。
「水沫・・」
「なんだ?」
「絶対に、”水沫”を終わらせるから」
「ああ、楽しみにしているよ・・・霧月・・・・我が宿主よ」
僅かに揺らぎ、水沫は消えた。
正確には私の中に入っただけなんだけど。
「よしっ」
私は作業を始めようと、ノートを準備して、深呼吸。
私が”大切な誰か”を守りきれば水沫は消える。
竜の呪縛から解き放たれる。
私は一人で、魔導具を解体し始める。
「これがこうなってて、こうなるから・・・・」
どうしても、作りたい魔導具があった。
-----------
烈火が尋ねてきたのは数日後。
魔導具の作成を始めたころだった。
―――ピンポーン
「は~い!何?」
「何って!?来なかったのか?」
突然訪ねてきたのは、烈火。
いきなり何なんだよ。
「来たって?」
「紅麗の馬鹿からの伝言だよ!
裏武道殺陣っての」
何そのまがまがしい名前。
紅麗が考えたのかな?
あ、やばい。笑う・・・。
「なんで笑ってるんだよ!?」
「な、なんでもない・・・
で、その裏武闘殺陣って何?」
「ああ、良くわかんねぇけど戦うみたいだ」
烈火が困ったように言う。
正直詳細は良く分かんない。
「ふぅん、私も行く」
でも、烈火達と紅麗がいるなら行く。
「ついてくるのか?」
「うん駄目?」
「いや良いけどよ・・・」
「まぁ、駄目って言われても着いていくけどね
ところでさ、腕・・・どうしたの?」
腕を指して言う。
そ の 腕 に は 、 崩 と 砕 の 文 字 。
烈火は恥ずかしそうに腕を振った。
「これか?
これは、二匹とりこんでやった!」
二匹。
後六匹か。
「ん、良かったね」
「おう!
ん?そういやお前この数日何やってたんだ?」
烈火が聞く。
なかなか痛いとこつくね。
「・・・秘密?」
「おまっ
・・・まぁ、霧月らいいか
後で日時とか連絡くるらしいからまた来るべ」
「あいよー」
手を振りながら烈火が帰る。
烈火が帰ったのをみてから、水沫が現れた。
「腕見た?」
「見た」
「よかったぁ」
竜は烈火の力になった。
やっぱ、烈火は強くなるよ。
「どんな力かな?」
「裏武闘殺陣とやらに行けば分かるのではないか?」
う~ん。
まぁそうなんだろうけど。
「早くみたいなぁ」
そう思ってしまうのも事実なわけで。
「霧月」
「何?」
「魔導具作りはどうするんだ?」
「あ~、作りかけのと作る道具蔵王に入れて持って歩く」
完成は、裏武闘殺陣の会場で・・・かな?
(2011/09/18)